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KL2020・OD・037
未成年が逮捕されると成人とは違った手続が行われます。成人が犯罪を起こせば刑事裁判にかけられ刑罰を受けることになりますが、未成年は少年法という法律により刑罰を与えるのでは無く家庭裁判所にて保護処分を受けることになります。
少年法の目的が「少年の健全な育成」であるがために成人とは違った手続をすることになっています。
近年、未成年が起こす犯罪がニュースでよく取り上げられ社会の目も厳しくなっている影響で、これまで「保護・教育」という考え方が強かった少年法も大きな改正により少年にも厳罰化という考えが大きくなってきています。
では、実際に未成年が犯罪を犯し逮捕された場合にどのような手続きがなされていくのでしょうか。図を交えながら解説してきたいと思います。
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目次
未成年が逮捕された場合、逮捕・勾留までは成人と同じ手続きが行われますがその後の手続きが違ってきます。以下の図を見ながら解説していきたいと思います。
逮捕され勾留するところは成人と同じ手続きになります。逮捕されてから48時間以内に検察庁に送られます。勾留の必要があれば勾留請求をし、認められれば最大20日間勾留されることになります。ここからが成人と違ってきます。
成人の場合は検察官によって起訴するかしないか判断することになりますが、少年の場合は全件送致主義といって全ての事件が裁判所に送られることになっています。
送致される裁判所も地方裁判所ではなく家庭裁判所になります。
家庭裁判所に事件が送られたら裁判官と面接し観護措置を付するか裁判官が判断します。観護措置とは、送られてきた少年の審判を円滑に進め、少年の処分を適切に決めるための検査を行う必要がある場合に少年鑑別所に送致し、一定期間そこに収容することを言います。
収容する期間は2週間となり、特に継続の必要がある場合は1回更新できることになっていますが、ほとんどの場合1回更新されるので実質4週間となります。
事件によっては特別更新する場合もあり最大8週間の観護措置を取ることができます。また、鑑別所には収容せず在宅のまま家庭裁判所の調査官の観護を受ける調査官観護になる場合もあります。
観護措置がなされたり、在宅になった後、少年審判の開始決定が出たら少年審判をすることになります。これは成人で言うところの裁判であり、少年の処分を決めるものです。
裁判は原則公開の場で行われますが、少年審判は原則非公開で行われます。処分の種類は、保護観察や少年院送致等の保護処分、検察官に事件を送り返し成人と同じ裁判にかける検察官送致(逆送)、何も処分する必要が無い時は不処分決定がなされます。
また、これらの処分を直ちに決めるのが困難な場合は中間的な処分として試験観察というものがあります。一定期間帰宅させ少年の生活の様子を見て最終処分が決められることになります。
成人との手続きとの違いについてお分かりいただけたかと思いますが、改めて書き出してみたいと思います。
先述している通り、事件が発生してから逮捕・勾留に至るまでは成人と同じ手続きを踏むことになります。
未成年が事件を起こした場合は少年法が適用されます。少年法の理念は「健全な育成」であり「人格の形成期にある少年を刑罰で避難することが本質的な解決になるのか」という考えがあります。
ですから、成人と同じ「刑罰」を科すのではなく「教育」を施して同じ過ちを犯さないようにさせようというのが少年法の基本的な考え方です。
成人は地方裁判所に公判請求(起訴)され裁判を受けることになりますが、未成年の少年は家庭裁判所に送られることになっています。罰金や懲役などの刑罰を受けることはなく、少年審判にて保護処分を受けることになります。
少年審判は非公開の場で、裁判官・調査官・少年・少年の両親・付添人(弁護士)が出席し行われます。少年審判にて決められる処分の種類は以下の通りになります。
保護処分は少年に刑罰を与えるのではなく、矯正教育を行い環境を調整し健全な育成を図るための処分になります。
保護処分の種類は以下のものになります。
保護観察官や保護司の指導・監督を受けながら社会内での更生を目指す処分になります。
少年が再非行を起こす恐れが強く社会内での更生が難しい場合に、少年院に送致し矯正教育を行う処分になります。年齢や犯罪傾向の進み具合によって送致される少年院が決められ、その収容期間についても個別に決められます。
比較的年齢が低い少年に、開放的な施設での教育が相当と判断された場合は児童自立支援施設に送致され教育を受けることになります。
少年法における保護処分ではなく、児童福祉機関の指導・教育が必要と判断された場合は、都道府県知事や児童相談所に送致されます。
少年の年齢が14歳以上であり、事件の重大性、少年の性格、心身の成熟度等を総合的に加味し、保護処分ではなく刑事罰を科すのが妥当と判断した場合には、事件を検察官に送り返し成人と同じ刑事裁判にかけることになります。
これを俗に「逆送」と言い、少年審判において1番重い処分になります。
調査の結果、保護処分や検察官に逆送しなくても更生が期待できる場合や事件を起こした疑いが無くなった場合に、何も処分をくださない事があります。
上記の処分を直ちに決めるのが困難な場合に一定期間調査官の指導・監督下に置き生活を観察する中間的な処分を試験観察と言います。一時帰宅させて行う場合と、ある施設に委託し行う場合があります。
少年法第32条において
保護処分の決定に対しては、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り、少年、その法定代理人又は付添人から、二週間以内に、抗告をすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。
少年法第32条
抗告した場合は高等裁判所において原則書面にて審理することになります。また、高等裁判所の決定にも不服がある場合には最高裁判所に再抗告することができます。と定められており、主に保護観察、少年院送致、児童自立支援施設送致の処分に不服がある場合に抗告することが認められています。
未成年が逮捕されてしまった場合に大事なことは家族のサポートが必須となります。家庭環境が整っていないと少年審判にて帰宅できない処分になる可能性が高くなってしまします。また、未成年特有の環境もあるので1日でも早い社会復帰が必要です。
未成年であるということは学生である場合が多いと思われます。すでに職についているという少年もいるかもしれませんが、どちらにせよ身体の拘束期間が長ければ長くなるほど復学・復職がしにくくなり、最悪学校を退学になってしまったり職場を解雇されてしまいます。
少年法の理念が「健全な育成」であることは先述しましたが、なんで事件を起こしてしまったか、今後どうしていいのかしっかり反省し考えないといけません。
形だけ反省している素振りを見せていても、後に再犯してしまう可能性が高くなります。その際は処分もより厳しいものになってしまいますから、その場でしっかり反省し同じことを起こさないようにすることが1番大事になってきます。
上記のようなことをするために手助けをしてくれるのが弁護士になります。少年事件では弁護士をつけなくても少年審判を開くことができますが、公正な手続きを行うためや、少年の環境を整備したり反省を促すためには必要な存在です。
近年凶悪な少年事件が報道され社会の見る目も厳しくなっています。未成年だからということは関係なく逮捕もされますし、厳しい処分も受けます。
仮にあなたの知り合いの未成年の子が事件を犯してしまった場合はあなたを含め周囲の人間のサポートが大事になってきます。いち早く付添人を選任し少年ができれば社会内で更生できるようにしてあげましょう。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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