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KL2020・OD・037
賃貸借契約の期間は、契約内容や形態によって制限されているものがあります。
今回は、契約の更新されない「定期借家契約」と契約更新が原則である「普通借家契約」について簡単に説明します。
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目次
賃貸物件には契約期間を定めているものもあります。多くの物件では1年以上で設定しており、2〜4年で更新となっていますが、契約期間の設定は法令の範囲内で当事者が自由に決定することができます。
この項目では、「定期借家契約」と「普通借家契約」の2つの契約形態をご紹介します。
普通借家契約とは、建物についての通常の賃貸借契約を意味します。このような建物賃貸借契約には借地借家法という特別法の適用があり、貸主は期間満了時、正当な理由がない限り契約を更新しないということができません。しかも、この「正当な理由」は相当厳格に判断されますので、建物を立替えたいとか売却したいという理由で賃貸借契約を終了させることは基本的にできません。そのため、普通借家契約の場合は、賃借人が建物を使用する必要がある限り、基本的に借り続けることができる契約といえます。
普通借家契約については後の項目「普通借家契約の特徴|一般的な契約期間は2年程度」で詳しく説明していますので、併せてご覧ください。
上記のように、普通借家契約は、貸主は契約期間が満了しても借り主から建物を返してもらえません。しかし、貸主からすれば一度貸したものが容易に返還されないのは、非常に困る場合があります(例えば、一時的に賃貸したかった場合等)。このような貸主のニーズに対応するのが「定期借家契約」です。
「定期借家契約」は、契約の更新がないことを予め明示する契約形態であり、借地借家法の一部規程の適用を排除できます。例えば、上記のとおり借地借家法で制限される期間満了時の契約不更新の制限は「定期借家契約」では排除されており、貸主は期間満了時に当然に契約を終了させることができます。
このような「定期借家契約」を利用すれば、家主が出張で1年だけ遠方に住むことになり、その間だけ貸出すという場合に家を貸すという対応も可能です。定期借家契約については次の項目「定期借家契約の特徴」で詳しく説明していますので、併せてご覧ください。
定期借家契約の特徴は上記で述べた通り、借地借家法の適用がないことです。これは、賃借人からすれば期間満了時に立ち退きを強制されるということです。したがって、定期借家契約は期間限定で貸出を行っている物件と考えるのが良いでしょう。
なお、契約期間が満了した後、貸主と借主の合意により再契約を締結することは制限されません。そのため、賃借人において更に住み続けたいということであれば、貸主と交渉して新規契約を締結することになります。
定期借家契約は特に契約期間の制限はありません。契約期間は長期にも短期にも設定することが可能です。
賃貸物件を契約して住んでいたら、定期借家契約なので、退去してほしいと言われた…
このようなトラブルの場合は弁護士などの専門家に早い段階で相談しましょう。定期借家契約は、借地借家法の適用を排除するという強力な効力があるため、契約の様式も厳格です(詳細は後述します。)。このような様式を備えたものかどうか、専門家に判断してもらうのが適切です。
第三十八条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
引用元:借地借家法
定期借家契約を結ぶ際は公正証書その他書面による契約が必要になります。なお、公正証書はあくまで例示であり、書面で作成されていれば足ります。通常の借家契約では必ず契約書面が作成されますので、この部分は特に心配しなくてもよいかもしれません。
他方、有効な定期借家契約を締結するためには、契約書面とは別に借地借家法の適用が一部ないことを賃借人に書面で通知する必要があります。杜撰な仲介業者の場合、当該書面通知を失念したりすることがあるようですので、定期借家契約を締結する場合、このような様式書面が完備されているかは必ず確認して下さい。
普通借家契約は、上記で記載の通り、借地借家法の適用があります。賃借人は期間満了を理由として強制退去扠せられることは基本的にありません。
なお、普通借家契約の場合、1年未満の期間を定めた場合は期間の定めのない賃貸借契約となりますが、この場合でも貸主からの解約には正当理由が必要です。
賃貸物件では様々なトラブルが起きます。
上記のようなトラブルに巻き込まれた際は、早めの段階で弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
いかがでしょうか。定期借家契約や普通借家契約は聞きなれない言葉なので、一見難しいと思われるかもしれません。しかし、大きな違いは借地借家法の適用があるか否かであり、これにより取扱いは大きく異なります。普通借家では賃借人は極めて厚く保護される一方、定期借家の場合は期間満了で退去を強制される可能性があり、深刻な影響が生じることもあります。
もしも、賃貸物件を契約する際にわからない点などがあった場合は必ず不動産会社など、物件のオーナーに確認するようにしましょう。
この記事で、あなたの賃貸の契約期間の疑問が晴れれば幸いです。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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