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KL2020・OD・037
「回復の見込みのない精神病」とは、夫婦関係にある配偶者が、長期間の治療を続けていても回復が見込めない精神病に侵されていることを指します。非常にデリケートな問題ではありますが、この事は、裁判で認められる離婚原因のひとつとして民法770条に定められています。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場
合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
(協議上の離婚の規定の準用)
引用元:民法第770条/p>
もし「回復の見込みのない精神病」を理由に離婚する場合、事前に知っておくべきこととして、過去の判例も交えながら以下の項目についてご説明いたします。
目次
裁判で回復の見込みのない精神病であると認めてもらうには、以下の項目に該当する必要があります。
ただし、上記の項目に全て該当していても必ず離婚が認められる訳ではありません。なぜなら、離婚の原因が配偶者の精神病という、非常にデリケートな問題であるためです。
裁判では、離婚が成立した場合の配偶者の生活が保障されているかなども含め、総合的に判断されます。
裁判で、回復の見込みのない精神病として認められる具体的な病名をまとめました。
混同しやすいところですが、以下に挙げた症状は裁判で精神病と認められないとされています。
次に、回復の見込みのない精神病として、過去、裁判で離婚が認められた判例をご紹介していきます。
生活が厳しい中でも、妻の精神病にかかる治療費を8年間払い続けた夫の離婚請求です。今まで妻の面倒を見ていた事実だけでなく、以下のことを示していたために離婚が認められました。
夫婦の子供を養育することを表明していた
元々、妻には精神簿弱がありました。さらにてんかん発作を起こしたことで脳組織が損傷し、結果として痴呆化してしまいます。医師からは、今後もてんかん発作を引き起こせば、痴呆はさらに進む可能性があり改善は見込めないと告げられ、夫は離婚に踏み切りました。以下の理由から離婚が認められたようです。
1でご紹介したケースでは、離婚後も妻の面倒を見ることに加え、妻の実家に財力があったからこそ離婚が成立した事例ですが、もし、妻の実家に財力がなく、離婚後も妻の面倒を見ないとなった場合は成立しなかった可能性が高いと思われます。
回復の見込みのない精神病で離婚請求をする場合、配偶者に適切な判断能力があるかどうかによって、離婚請求の方法が異なります。
基本的には、他の離婚事由と同じく二人で離婚の合意を得る協議離婚から手続きを始め、交渉決裂となった場合、調停離婚となります。
ただし、配偶者が回復の見込みがない精神病に侵されている状態ですから、明確な意思能力がないと判断され、協議離婚や調停離婚で手続きが進められるケースは稀なようです。
多くの場合、配偶者が痴呆などの理由により、判断能力がないとされるようです。その時は、配偶者の代わりとなる「成年後見人」を選定してもらい、その人を相手に離婚訴訟するという手続きになります。下記に具体的な流れをまとめてみました。
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分でない者について、本人の権利を守る援助者(「成年後見人」等)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度です。
成年後見人が選任されると、法的な対処はその人が行うことになります。離婚請求を進める前に、まずは家庭裁判所へ成年後見申立ての手続きを行いましょう。
配偶者に成年後見人が選定されたら、その人を被告として家庭裁判所に離婚訴訟を起こします。訴訟を起こした後は、適切な判断能力がない配偶者の代わりに成年後見人が出廷し、離婚裁判が執り行われます。
成年後見人は主に、配偶者の親族が請け負うことが多いようですが、弁護士や社会福祉士等が就任することもあります。
なぜ、裁判所は「回復の見込みのない精神病」での離婚を簡単に認めないのでしょうか。その理由は、主に3つ挙げられます。
・配偶者が望んで回復の見込みのない精神病に侵された訳ではないから
・裁判で簡単に認めてしまうことで人権問題になる可能性があるから
・離婚を認めたことで、精神病に侵されている配偶者の生活が危ぶまれるから
もちろん、配偶者側のことだけ考えて判断すれば良いというものではありません。離婚請求する側も相当な精神的ダメージを受けてきたことや、離婚を認めないことでダメージがより強いものとなることも念頭に置いて判断する必要があります。それでも、回復の見込みのない精神病を理由にした離婚が認められるのは稀有なケースなのです。
以下のことが証明できると、裁判で離婚が認められる可能性が上がると言われています。
回復の見込みのない精神病を理由に裁判で離婚を認めてもらうために、上記のことをはっきりと証明できるようにしておくと良いでしょう。例えば、医師からの診断書や通院の記録などが挙げられます。
回復の見込みのない精神病を患った配偶者との離婚は、人権に深く関わる部分であることから、離婚請求する側だけでなくされる側にも配慮が必要です。裁判では特に慎重な判断が求められているため、離婚を成立させるのは困難だと言われています。
だからといって、あなたが今置かれている状況をそのままにして良いということはありません。もし、辛いと思う状況に立たされていたら、一人で抱え込まずに弁護士に相談してみてください。
弁護士はきっと、あなたの力になってくれるでしょう。
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KL2020・OD・037
本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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