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KL2020・OD・037
日本には最近まで、『優生保護法』という法律がありました。優生保護法は『優生学』から考えられたもので、『不良な遺伝子を排除し、優良な遺伝子だけを残していこう』という考えに基づいています。
『未成年者に対し、本人の同意なく、強制的に不妊手術を行う』という日本では考えられないような法律ですが、1948年から、法改正される1996年まで確かに存在していました。
この記事では、優生保護法の過去と現在について紹介します。
まずは優生保護法を説明するため、衆議院のホームページから必要な部分だけを抜粋し、わかりやすい言葉に直してみました。
優生保護法
〇本人または配偶者が遺伝性精神変質症、遺伝性病的性格、遺伝性身体疾患または遺伝性奇形を有しているもの
原文はこちらです。
優生保護法
第一条 この法律は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とする。
第二条 この法律で優生手術とは、生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術で命令をもつて定めるものをいう。
第三条 医師は、左の各号の一に該当する者に対して、本人の同意並びに配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、任意に、優生手術を行うことができる。但し、未成年者、精神病者又は精神薄弱者については、この限りでない。
〇本人又は配偶者が遺伝性精神変質症、遺伝性病的性格、遺伝性身体疾患又は遺伝性奇形を有しているもの
【引用元:優生保護法 – 衆議院】
どうでしょうか。確かに『優生保護法』は存在し、未成年者や精神病者に対し強制的に不妊手術を行っていることがわかりました。
『毎日新聞』の発表によると、旧優生保護法によって、過去に強制手術を施された人の数は約1万5千人にものぼるそうです。
遺伝性疾患を理由にした強制手術は、国の統計によると全体の約9割に当たる1万4566人。強制不妊の問題に詳しい専門家は局長発言に驚きを隠さず、「徹底的な検証」を求めた。
【引用元: <旧厚生省局長>強制不妊根拠73年に否定「学問的に問題」 - 毎日新聞 -yahoo!ニュース】
中学2年生の時、優生保護法に基づき不妊手術を施された男性が、2018年5月、国に対し損害賠償請求をしました。
国は人生を返してほしい--。旧優生保護法下での不妊手術を受けた北三郎さん(75歳、活動名)=東京都=は、手術を受けた事実を妻にも言えず、長い間苦しんできた。
17日、東京地裁に国家賠償請求訴訟を起こした北さんは「裁判で強制不妊手術の実態を明らかにし、心の傷を少しでも埋めたい」と訴えた。
訴えによると、北さんは中学2年の時、仙台市内の児童自立支援施設(当時の教護院)にいたが、目的を知らされないまま手術を受けた。「1週間ほど歩けないほどの痛みが続き、夜も眠れなかった」という。
この施設は「家庭環境」などを理由に生活指導が必要だとされた児童らを収容していた。北さんは、障害などの診断を受けたことがないと言い、弁護団は「法の趣旨が拡大解釈されていたのではないか」とみている。
【引用元:旧優生保護法 強制不妊、妻に言えず 提訴の男性『人生返して』- 毎日新聞】
1948年に制定された優生保護法ですが、1996年に法改正が行われ、『母体保護法』に名称が変更されました。優生保護法で定められていた『未成年者、精神病者などに対する強制不妊手術について』ですが以下の様に改正。
第三条 医師は、下記に該当する者に対して、本人、配偶者がいる場合にはその者の同意を得て、任意に不妊手術を行うことができます。ただし、未成年についてはこの限りではありません。
〇妊娠または分娩が母体の生命に危険をおよぼすおそれのあるもの
【参考元:母体保護法 – 電子政府の総合窓口 e-Gov】
妊娠や出産がきっかけで命を落としかねないと判断された場合には、本人の許可なく不妊手術を行えるということです。『母親本人の命を保護するため』だといえば納得ができますが、本人の許可なく子孫を残せない体にしてしまうのは人権を無視しているという声が上がるのも致し方ないのかもしれません。
みなさんはこの法律についてどう感じましたか。
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