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KL2020・OD・037
確定申告の時に計算間違いなどで納税額が多かったり還付金が少なかったりした場合、更正の請求をすることで正しい金額へ変更してもらえますが、税務署による税務調査が入りやすくなるとされています。
税務調査の結果によっては更正の請求が認容されず、更正決定をすべきとは認められないと税務署から通知される可能性もあるので、請求人は事前に税務調査で気をつけておくべきことを確認するだけでなく、更正の請求が認められなかった後の対応策も知っておくと良いでしょう。
そこで今回は更正の請求と関連する税務調査の流れと併せて、更正の請求が認められない処分を受けた場合の手続きについて解説していきます。
目次
確定申告を間違えた際に行う更正の請求をした場合、法人だけでなく個人事業主に対しても税務調査が入りやすくなると言われています。その理由は主に以下の2点が考えられるでしょう。請求人による更正が妥当であるかどうかを調査して結果を通知することが、国税通則法第23条4項で明記してあります。
税務署長は、更正の請求があつた場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、更正をし、又は更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。
引用元:国税通則法 第23条 4項
逆に、同じ確定申告を間違えた時でも納税額が少なかったり還付金が多かったりした場合の『修正申告』では、税務署側のデメリットは少ないと思われるので税務調査が入ることはあまりないと考えられます。
なので、還付金の増額について申請する更正の請求は、簡単に申請すれば認めてもらえる問題ではないでしょう。もっとも、それを前提としても請求をしたい場合もあると思いますので、手続きに関して次項で確認していきましょう。
更正の請求は上記で説明した通り、申告税額が本来納付すべき税額よりも多い場合(または還付金が少ない場合)に正しい額への変更を要求することですが、請求期限を過ぎてしまうと申告書を提出しても却下されてしまうので注意しましょう。
更正の請求期限は対象となる税の種類によって多少異なりますが、原則として法定申告期限から5年以内になります、
また、更正の請求において課税標準など(税額等の計算の基礎となった事実)をめぐって裁判で争った場合、その判決で更正の請求が認められた場合には法定申告期限から5年以上経過しても、裁判で更正が認められた日の翌日から2ヵ月以内であれば更正の請求が認められています。
一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき。 その確定した日の翌日から起算して二月以内
引用元:国税通則法 第23条 2項 1号
申告書のフォーマットは、国税庁のホームページにある『所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続』よりダウンロードできます。申告書には申告済みの間違った額と正しい額(請求額)などを記載する必要があります。
また、提出方法は以下の3つです。書面での提出だけでなく国税庁の『確定申告書等作成コーナー』より申告することも可能です。
申告書を提出した後は税務署側で協議が行われ、上記で説明したように請求人である法人(または個人事業主)へ税務調査が入ることが多いとされています。税務調査の具体的な流れについては次項で説明していきます。
税務調査では法人(または個人事業主)の税務申告が正しいかどうかが調べられますが、定期的に行う場合もあれば不定期で行う場合もあります。
《図:税務調査の流れ》
参照元:国税庁 税務手続について
上記の図では事前通知をしてから税務調査へと移行していますが、事前通知をしなくても税務調査をすることが許されています。
事前通知がない場合ではたとえば、社員や関係者より通報や脱税疑惑などの情報が入った場合などが考えられます。事前に税務調査をすることを通知すると、違法行為が隠されてしまったり適正な調査が困難になってしまったりする場合には、予告なしで税務調査が行われるようです。
また、事前通知がある場合については通常、調査実施日の2~3週間前に電話で予告が入りますが、調査対象になる会社側の都合に応じて調査日程の変更も可能です。
税務調査日が確定した段階で、税務調査を受ける法人側は主に以下の準備を済ませておくべきでしょう。説明のつかない帳簿上の数字などがあると疑われるため、税理士に相談して想定される質問内容に対する答えを用意しておくべきです。
会社案内のパンフレットや取扱品目のカタログ・サンプルなどを使って説明する必要があります。
現金残高を正しく証明するために、現金残高と現金出納帳の帳簿残高が一致していることを確認しましょう。
売上・仕入計上に関して不明確な数字がないように説明しましょう。
税務調査は基本的に2日間かけて行われますが、1日で済んだり3日以上かかったりするケースもあります。主な調査方法では口頭での質問に加えて、資料やパソコンのデータ確認なども行われます。
注意点として、正当な理由がないのに帳簿書類などの提示や提出を拒んだり虚偽の記載をした帳簿書類を提出した場合は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。なので、正当な理由がある場合を除いて基本的には、税務局の担当者の要求に応じるべきでしょう。
参照元:国税庁税務調査手続に関するFAQ
第百二十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書に偽りの記載をして税務署長に提出した者
二 第七十四条の二、第七十四条の三(第二項を除く。)、第七十四条の四(第三項を除く。)、第七十四条の五(第一号ニ、第二号ニ、第三号ニ及び第四号ニを除く。)若しくは第七十四条の六(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
三 第七十四条の二から第七十四条の六までの規定による物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出した者
引用元:国税通則法 第127条
税務調査の終了後、上記の図で示している通り申告内容に誤りがあると認められた場合には『指摘事項』があると見なされて、調査内容の説明を受けます。
指摘事項とは、確定申告書に記載された税金の額が違っていることです。なので、更正の請求をしてから税務調査が入った場合には、指摘事項あると見なされれば更正の請求が認められることになります。
税務署の担当書より通告された指摘事項には更正の請求に加えて、修正申告の推奨もあります。更正の請求をしたことで実施された税務調査では考えにくい事項ですが、調査によって本来より少ない額の税金が申告されていた場合は修正申告書の提出を催促されます。
ただし、上記の修正申告の要求に納得できない場合は修正申告書の提出を拒否できますが、その代わり税務署長より『更正の処分』を受けることになります。結局は正しい税額への更正がされてしまいますが、更正処分を受けた場合には、法人側は処分の取消を要求することが認められています。
詳しくは次項で説明しますが、課税処分を受けた日の翌日から3ヵ月以内であれば、審査請求(または再調査)の手続きが取れるため、不服申立てが可能になります。
更正の請求をしてから税務調査が入った場合のケースにおいて重要なことになりますが、更正決定などをすべきと認められずに税務調査が終わることも考えられます。つまり、確定申告の内容に誤りがなく指摘事項がないと見なされ、更正の請求を拒否されたことになります。
通常の税務調査では問題なく終わったといえますが、更正の請求が正しいかどうかを判断するために行われた税務調査では、請求人(法人)にとって納得のいかない結果です。
ただし、上記の更正の処分と同様に『更正の請求が認められない処分』を受けた場合も不服申立てができますので、手順について次項で確認していきましょう。
税務調査の結果、更正の請求が認められない処分を受けた場合には『審査請求』と『再調査』の手続きを利用して処分の取消を要求することができます。
更正の請求が認められない処分に加えて、修正申告書の提出を拒否した場合に受ける更正の処分があった場合、税務署長などに不服申立てをすることが『国税不服申立制度』で認められています。
国税不服申立制度は課税処分の取消を求める救済措置です。複数回の審査によって調査内容が見直されて、可能性は低いですが、処分取消が認容されることもあります。
更正の請求を認めさせるために、請求人は審査請求を直接行うか、再調査をしてから審査請求をする2パターンのいずれかを選択します。どちらも書類(請求書)を提出することで提起できますが、手続きには以下表の通り期限が設定されています。
《審査請求の基本的な期限》 | |
処分を受けてから直接審査請求をする場合 | 処分があったことを知った日の翌日から3ヵ月 |
再調査をしてから審査請求をする場合 | 再調査請求決定書による通知を受けた日の 翌日から1ヵ月 |
税務調査後(更正の請求が認められない処分を受けた後)しばらく時間が経過していると審査請求自体が認められないこともあるため注意しましょう。
再調査や審査請求を利用しても更正の請求が認められず棄却された場合、最終的な手段として訴訟が考えられます。
税務訴訟も審査請求と同様に、提起すれば必ず処分の取消が認められる訳ではありません。むしろ、処分の取消が認められる可能性の方が低いため、弁護士と相談しながら訴訟をするべきかどうかを判断するのが良いでしょう。
更正の請求と関連する税務調査の流れについて解説しましたが、更正の請求が認められない処分に対する審査請求を含め、様々な手続きの方法についてお分かりいただけたかと思います。
それぞれの請求や不服申立てに関しては場合によって要件を満たさず却下されてしまったり、手続きをしても処分の取消しが認められる見込みがないこともあるため、最初に専門家である弁護士に相談した方がよいでしょう。
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