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KL2020・OD・037
更正の請求とは、確定申告の際に記載した所得額が正しい額より多かったり、控除対象項目の金額が正しい額より少なかったりしたときに、正しい金額へ訂正してもらう手続きのことです。
申告者の利益を守るための制度ですが、提出期限内に専用の申告書を提出しなければ訂正を認めてもらうことができません。そこで今回は、更正の請求で申告する内容ごとの提出期限と、申告書の書き方や提出方法などの基礎知識についてご紹介します。
目次
平成23年12月2日に、税制改正に関する法律が公布され、更正の請求を証明する書類の提出義務化や、虚偽申告による罰則が設けられました。一方で、提出期限の延長や、請求範囲の拡大など申告者にメリットとなる改正も行われています。
ちなみに、更正の請求期間は法定申告期限から1年以内の期限が、5年以内に変更されています。ただし、平成23年12月2日以前に法定申告期限がくる税については、改正前と同じく1年以内が期限となるため注意しましょう。
以前は、確定申告書に記載した金額が誤っていた場合のみ更正の請求が認められました。しかし、税制改正により一部の項目について、更正の請求手続きで事後適用が認められるようになったのです。これにより、申告者の請求範囲が拡大することになりました。
更正の請求を行う際、申告内容を証明する書類の提出は任意となっていました。ところが、平成24年2月2日以降に更正の手続きをする際は、申告内容を証明する書類の提出が義務化されたのです。申告者は、事実に基づいた請求であることを証明した上で申告しなければなりません。
税制改正により、具体的な罰則も設けられました。更正の請求で、虚偽の記載をした場合は、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金刑を受けることになります。ただし、この罰則は平成24年2月2日以降に行う更正の請求から適用されます。
法定申告期限が平成23年12月2日以降の税は、増額更正できる期限が3年から5年に延長されました。提出期限が伸びたことにより、申告者側の手続きがしやすくなったと言えるでしょう。
更正の請求は、申告内容などにより提出期限が異なります。以下に、申告する税の種類ごとの提出期限と、請求内容ごとの提出期限をまとめました。あなたが申告すべき内容がどちらに当てはまるかチェックした上で、正しい提出期限を確認してみてください。
まずは、税の種類ごとで提出期限を確認していきましょう。同じ税でも、イレギュラー内容によっては提出期限が異なるケースがあります。しかし、原則としては、「国税通則法第23条第1項」に該当する法定申告期限から5年以内と覚えて良いでしょう。
該当項目 |
該当項目ごとの提出期限 |
法人税、地方法人税の確定申告に係るもの | 国税通則法第23条第1項:法定申告期限から5年以内 国税通則法第23条第2項:該当日から2ヶ月以内 |
法人税法第145条:修正申告提出日翌日から2ヶ月以内 法人税法第80条:修正申告提出日翌日から2ヶ月以内 法人税法第80条の2:修正申告提出日翌日から2ヶ月以内 |
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地方法人税法第24条:修正申告提出日翌日から2ヶ月以内 | |
租税特別措置法第66条の4第16項:法定申告期限から6年以内 租税特別措置法第20項:法定申告期限から6年以内 租税特別措置法第68条の88第17項:法定申告期限から6年以内 |
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復興特別法人税の確定申告に係るもの | 国税通則法第23条第1項:法定申告期限から5年以内 国税通則法第23条第2項:該当日から2ヶ月以内 |
特別措置法第57条:修正申告提出日翌日から2ヶ月以内 | |
租税特別措置法第66条の4第16項:法定申告期限から6年以内 租税特別措置法第68条の88第17項:法定申告期限から6年以内 |
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相続税、贈与税 | 相続税:法定申告期限から5年以内 |
贈与税:法定申告期限から6年以内 | |
消費税、地方消費税、酒税 所得税、復興特別所得税 | 法定申告期限から5年以内 |
たばこ税、たばこ特別税 揮発油税、地方揮発油税 航空機燃料税、石油ガス税 石油石炭税、印紙税 電源開発促進税 | 法定申告期限から5年以内 |
次に、請求内容ごとの提出期限を確認していきましょう。更正の請求手続きの内容によって、期限が2ヶ月~9年以内と大きく異なります。所得税など基本的なものであれば、期限は法定申告期限から5年以内です。その他の項目は、下図を元に期限を確認してみてください。
請求内容 |
期限 |
更正の請求手続き |
法定申告期限から5年以内 |
贈与税や移転価格税制などの法人税 |
法定申告期限から5年以内 |
法人税にかかわる純損失などの更正 |
法定申告期限から9年以内 |
裁判や判決などに伴う更正 |
判決日から6ヶ月以内 |
脱税や国外転出の特例対象などの場合 |
法定申告期限から7年以内 |
経済的な成果が消失した場合 |
事由が発生した日から3年以内 |
申告した税額等の計算の基礎となった事実の訴えで、判決が当該計算の基礎とした場合と異なると判明したとき |
事由が発生した日の翌日から2ヶ月以内 |
災害などによって期限が延長した場合 |
更正の請求があった日から6ヶ月以内 |
更正の請求手続きに関する基礎知識を以下にまとめました。手続きに必要なものや申告書の提出方法などが含まれていますので、ひとつずつ確認していきましょう。
更正の請求手続きに必要なものは主に3つです。所定の請求書は申告する税の種類によって書式が異なります。以下のリンクの中から必要に応じて印刷してください。ちなみに、提出の際は本人確認書類が必要となります。
管轄の国税局へ行って提出する場合は提示のみで問題ありませんが、郵送で提出する場合は、本人確認書類の写しを添えて送りましょう。
・所得税及び復興特別所得税の更正の申告書(原本)
・法人税の更正の申告書(単体申告用原本)
・法人税の更正の申告書(外国法人用原本)
・法人税の更正の申告書(連結申告用原本)
・相続税や贈与税の更正の申告書(原本)
・消費税及び地方消費税の更正の申告書(原本)
・たばこ税や印紙税などの更正の申告書(原本)
・酒税の更正の申告書(原本)
作成した申告書の提出方法は、管轄の国税局へ直接提出しに行くか郵送、またはe-Taxという電子申告を使用する方法があります。ちなみに、更正の請求は手数料がかかりません。
もし、管轄の国税局へ直接提出する場合は、曜日や時間に注意しましょう。受付は、月曜日~金曜日の8時30分~17時までの間となります。
画像引用元:所得税及び復興特別所得税の更正の請求書
更正の請求手続きに必要な申告書の書き方についてご紹介します。項目は、まず名前や住所などの基本情報から、更正の請求手続きをした理由、還付される税の受取り口座情報などを記載します。
そして、「請求額の計算書」欄に訂正が必要な項目を記載してください。このとき、該当年度の確定申告書の内容を元に、金額を記載していきます。
還付申告の更正の請求手続きについて確認しておきましょう。還付申告とは、過剰に納付した税を返還してもらう手続きのことです。具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
還付申告の提出期限は、申告書の提出日から5年以内となります。ただし、税制改正前の平成23年12月2日以前に提出している分の期限は、法定申告期限から1年となります。
還付申告で更正の請求をした場合の期限はどうなるのでしょうか。この場合、還付申告書を提出した日から5年以内が期限となります。
更正の請求は、「修正申告」と「訂正申告」と似ている部分があり、混同しやすいかもしれません。具体的に何が違うのか把握しておきましょう。それぞれの違いを以下にまとめました。
手続き内容 |
手続きが必要なケース |
更正の請求 |
確定申告後に、所得額を多く申告または還付税を少なく申告していたと判明した場合 |
修正申告 |
確定申告後に、所得額を少なく申告または還付税を多く申告していたと判明した場合 |
訂正申告 |
確定申告の提出期限前に申告内容に誤りがあったと発覚した場合 |
修正申告とは、確定申告時に所得を少なく記載していたり、控除対象となる税額を多く記載していたりした場合に訂正する手続きです。このとき、確定申告の締め切り日後に事実が発覚していることが条件となります。
もし、確定申告の締め切り前までに訂正手続きが可能な場合は、「訂正申告」で処理します。
訂正申告とは、確定申告の締め切りである3月15日までに、提出した申告書の内容に不備や誤りを訂正する手続きのことを言います。この場合、最後に提出した確定申告書が正式なものとして自動処理されるため、税務署からの審議を待つといったことはありません。
更正の請求期限が近くて提出が間に合わない、または請求期限が過ぎてしまった場合どうすれば良いのでしょう。法律では、期限が過ぎてしまった場合の対応や処罰についての規定がありません。
できる措置として、管轄の税務署長に「嘆願書」を提出する方法があります。つまり、「更正の請求を認めてください」と税務署長にお願いするのです。あくまでも、嘆願するのみのため、請求が通るかは税務署長の判断となります。最終手段として検討の余地はあるでしょう。
更正の請求手続きは、申告内容や期限などにより提出期限が異なります。また、訂正が必要な内容によっては、更正の請求ではなく「修正申告」や「訂正申告」での手続きとなるケースもあります。確認をしっかり行ってから手続きするように心がけましょう。
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KL2020・OD・037
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