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KL2020・OD・037
控訴(こうそ)とは、最初に行われた裁判(第1審)の判決に対し、不服がある場合に、さらに上級の裁判所に申し立てること。不服申し立てを行う上訴のひとつです。
この記事では、刑事裁判における控訴について解説していきましょう。
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目次
ここでは控訴の基礎知識、控訴を行う権利のある人、控訴が認められる場合、認められない場合、判決の種類について解説していきましょう。
日本では国民の基本的人権の保持を目的として、慎重かつ公平に判断を下すために、三審制(さんしんせい)が定められています。
裁判は証拠にもとづき、過去の事実認定を行う作業です。人が人を裁くにあたり、当然誤るということを想定しているために、3回裁判を行うことができるのです。
軽微なものを扱う簡易裁判所、地方裁判所、その上に高等裁判所、さらにその上にあるのが最高裁判所。
例えば、刑事事件の第一審は、検察が簡裁や地裁に公訴提起(※)することで開始されます。
(※)公訴提起とは 被疑事実にもとづいて量刑を決定するために、検察が地方裁判所などに審判を求めること。この裁判が最初の裁判であり、第一審となります。 |
刑事裁判の場合、第一審の判決に不服があれば、高等裁判所に控訴します。控訴審の判決に不服があれば、さらに最高裁判所に上告します。
刑事裁判では、公訴事実(犯罪事実)の有無を認定した上で、刑を決定・宣告します。
刑事裁判では有罪判決が出るまで被告人は無罪と推定されますが、日本の刑事事件の有罪率は統計上99%を超えるといわれています。
これは、証拠関係から確実に有罪に持ち込めるものだけを検察が起訴しているからと考えられています。
そのため、刑事裁判で事実がひっくり返る、あるいは、無罪が言い渡されるということはほとんどありません。
多くの事件では被告人が有罪か無罪かよりむしろ、どんな量刑を科すかに重点が置かれています。
刑事裁判で控訴が行われるのは以下のような場合です。
特に量刑不当は控訴の理由として多いといわれています。
訴訟手続きの法令違反は、法令により判決に関与できない裁判官が判決に関与してしまったなど、手続き上のミスなどが挙げられます。
法令適用の誤りは、その名の通り法令(法律)の適用に誤りがあった場合です。
控訴は被告人だけでなく、検察側も行うことができます。ニュースでも、量刑が軽すぎるとして、検察が控訴する予定であるなど、見聞きしたことがあるでしょう。
なお、被告人のみが控訴した場合は不利益変更禁止の原則(※)により第一審よりも重い罰則が下されることはありません。
(※)不利益変更禁止の原則 被告人が控訴することで不利益を受けないよう、被告人の控訴権の行使を保障したもの。被告人のみが控訴した場合、第一審よりも重い刑が科されることはありません。 |
しかし、被告人だけでなく検察側も控訴できるので、控訴審(控訴した後の裁判、第二審)では第一審よりも重い刑が科される可能性があります。
そのため、第一審は懲役10年だったのに第二審では無期懲役になってしまうなんてことも理論上はあり得ます。
原審(1つ前の審理をした裁判)の弁護人は、私選弁護人であれば控訴審について改めて依頼することで控訴審の弁護も依頼できます。
他方、国選弁護人の場合、控訴審でも同じ弁護士が弁護をしてくれるとは限りませんが、所定の手続きを行えば再度同じ国選弁護人が担当することは可能です。
下記は2018年4月23日の毎日新聞から引用しています。
懲役30年の判決に被告が控訴 大阪府門真市で2016年、自宅で就寝中の川上幸伸さん(当時43歳)を刺殺し、子供3人に重軽傷を負わせたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた無職、小林裕真被告(25)が23日までに、懲役30年とした大阪地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴した。 控訴は20日付。1審で弁護側は、統合失調症の影響で心神喪失状態だったとして無罪を主張。検察側は死刑を求刑したが、判決は「心神耗弱の状態だった」と認定した。 判決によると、小林被告は16年10月19日未明、面識のない川上さん宅に侵入し、就寝中だった一家4人を殺傷した。 |
この記事によると、大阪地裁で行われた第一審の判決、懲役30年を不服とした被告が、大阪高裁に控訴しています。
原審の争点は、殺人や殺人未遂について問われた被告が、心神喪失状態であったか否かという点のようです。
検察の死刑求刑に対し、弁護側が主張した心神耗弱状態(しんしんこうじゃくじょうたい)が認定され、死刑ではなく懲役30年の判決が下されたということです。
ここでは刑事訴訟における控訴と、民事訴訟における控訴の違いについて解説します。
刑事訴訟というだけあり、取り扱われるのは刑事事件です。刑事訴訟の場合、第一審が簡易裁判所でも地方裁判所でも控訴審は高等裁判所となります。
民事訴訟では私人間の事件(契約トラブルであったり、交通事故であったり)を取り扱います。
民事訴訟の場合、第一審が簡易裁判所であれば、控訴審は地方裁判所となり、上告審は高等裁判所となります。
刑事裁判では、公訴提起された方を被告と呼びますが、民事訴訟でも、訴訟を起こされた方を被告と呼びます。民事訴訟を起こした側は原告です。
控訴・上告はニュースで聞かれますが、混同してしまいますよね。ここでは、控訴・上告・抗告の違いをご説明しましょう。
控訴と上告についてこちらの図をご覧ください。
控訴は、第一審の判断に対して上級審に不服を申し立てる訴訟手続きです。上告は、第二審の判断に対してさらに上級の裁判所に不服を申し立てる訴訟手続きです。
つまり、控訴して第二審の判決に不服があればさらに上告するということです。不服申立することを“上訴(じょうそ)”とも言います。控訴も上告も上訴の一種なのです。
上訴 |
控訴 |
第一審に対する不服申立 |
上告 |
第二審に対する不服申立 |
また、抗告(こうこく)も上訴の一種ですが、これは裁判所の判決ではなく決定や命令に対して行う簡易な不服申立です。
裁判所は判決以外にも決定、命令という簡易・迅速な裁定処分を下すことがあります。例えば、刑事裁判で保釈の許可決定などです。
この決定や命令に対し不服を申し立てるのが抗告です。
ここでは控訴審で下される判決の種類について解説していきましょう。
控訴審の判決は “棄却(ききゃく)判決”と、“破棄(はき)判決”に分かれます。
控訴審判決の種類 |
棄却 |
第一審を支持する判決 |
|
破棄 |
第一審は誤りであったとする判決 |
破棄自判:上級審が自ら判決を下すこと |
|
破棄差戻し:原審に再審理させること |
控訴棄却判決は、第一審の判決(原判決)を正当であると維持する判決です。控訴を認めないことから控訴棄却と言います。
控訴棄却は控訴理由がない場合に下されます。控訴理由は、量刑不当や、事実誤認、法令適用の誤りなどが挙げられます。
つまり、そういった理由がない場合は、控訴棄却判決が下され、原審の判決が支持されるということです。
一方で、原審破棄は、原審が誤っていたことを認めこれを破棄する判決を言います。例えば、原審の事実認定に誤りがある場合や、原審の量刑が不当な場合は、原審が破棄されます。
控訴審で、原審を破棄する場合、改めて新しい判決が必要となります。原審破棄後の判決は下記です。
破棄自判判決(はきじはんはんけつ) |
破棄判決を下した上級審が、自ら判決を言い渡す |
破棄差戻し判決 |
原審に審理をやり直させる |
刑事裁判の場合は破棄自判が多いと言われています。例えば、量刑不当で控訴した裁判で、原審が誤っていたとして原審を破棄した後、その控訴審で、新しい量刑を言い渡すことです。
具体例を挙げましょう。下記は、詐欺罪に問われた男性が、詐欺行為の故意がなかったとして、控訴審の判決で逆転無罪を言い渡された事件です。
男性に逆転無罪 大阪高裁 スマートフォンの普及に向けて事業者に対し、業務で扱う電波の周波数帯の移行を促す制度を悪用して約5400万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた男性会社員(37)=神戸市=の控訴審判決で、大阪高裁は10日、懲役2年6月とした1審・京都地裁判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。増田耕兒裁判長は、共犯とされる知人の男(39)に従っただけとする男性の供述の信用性を認定し、「詐欺の故意は認められない」と判断した。 一部引用元:毎日新聞|男性に逆転無罪 大阪高裁 |
ここでは控訴までの流れと控訴提起期間について解説します。
第一審は、検察が起訴する犯罪の内容に応じて簡易裁判所、または、地方裁判所に公訴を提起します。
この第一審の有罪判決に不服がある場合、被告人は控訴することが可能です。
控訴審(第二審)は起訴した事実の有無を認定した上で法令を適用し、刑を言い渡します。
控訴提起は、第一審の判決から14日以内に判決を下した地裁に、控訴の意思を記した控訴状を提出して行います。
その後控訴審裁判所(※)から通知があり、裁判所に定められた期間内に控訴事由を記した“控訴趣意書(こうそしゅいしょ)”を提出する必要があります。
※控訴審裁判所 第二審が行われる裁判所。つまり高等裁判所。 |
2014(平成26)年の司法統計によりますと、控訴申立件数5,890件のうち70%が控訴棄却を受け、原審が支持されています。
刑事事件でも原審の影響が大きいということですね。
今後ニュースを見る上でも、控訴や控訴審判決に注目してみるとまた変わった角度から見ることができるのではないでしょうか。
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