土地使用貸借と相続
母名義の土地があります。推定相続人は子2名(私と弟)。私は結婚し子1名。弟は未婚でこれから結婚の予定がありますが、二人とも50歳過ぎなので子ができる予定はありません。
母は将来的には唯一の血縁者の孫(私の子)に土地の相続が行くようにしたいと考えており、土地は遺言により私が相続予定です。
弟も了承しています。
家屋が古くなり、二世帯住宅を建てる計画があります。
1階は母名義で将来は私が相続してよいと弟が言っています。2階は弟名義です。家を建てるに当たって、土地は母が弟(母から見て息子)に無償で使用させる使用貸借契約をする予定です。
「期間は弟夫婦が亡くなるまで」ということになります。
土地の名義は相続で私名義になりますが、弟夫婦が住み続けることに問題はありません。
弟が先に亡くなり、建物の2階部分を配偶者が相続した場合、配偶者が亡くなったときに、配偶者の兄弟がその次の相続人となると思います。
弟夫婦が土地を無償で使用することは問題ありませんが、赤の他人に利用させることはできませんが借地権を主張されたら困ります。
使用貸借契約は借人が亡くなったら終わりと聞いていますが、そのときに建物があったらどうなるのでしょうか?
使用貸借契約に、そのときの土地の貸人側が建物を買い取る特約がつけられますか?
その他、弟夫婦が土地を使用後に私の子が相続してトラブルにならないような注意点をアドバイスいただけますか?
相談者(ID:)さん
弁護士の回答一覧
2階に区分所有と言う状況を踏まえると、貸借終了後の建物収去明け渡し、と言うのは現実的ではないの...
住所 | : | 東京都文京区千駄木3-36-8シルバーパレス千駄木202 |
---|---|---|
対応地域 | : | 全国 |
【千駄木駅1分】親しみやすい弁護士。弁護士歴20年以上のベテランが、あなたに寄り添い納得のいく解決へと導きます。
使用貸借契約はその借主の死亡により終了します(民法599条)したがって相続人に相続されない権利...
民法には借主の死亡の場合しか規定されていないので、貸主の死亡の場合、使用貸借契約は借主が死亡するまで貸主の相続人に引き継がれます。
ご質問の場合、使用貸借の契約者が弟様だけで、仮に弟様が亡くなると、使用貸借は終了してしまうので配偶者の方は住み続けることができなくなります。使用貸借契約は弟様と配偶者の方共同で母上様とされた方がよいかもしれません。
次に相続関係ですが、建物の2階部分は独立の建物としての機能、構造を備えるものとして考えます。
建物の2階部分は弟様の所有名義なので、弟様が亡くなった場合、子供がいないと配偶者3/2、母上様に3/1相続されます。仮に母上様が先に亡くなつている場合、相談者の方が4/1、配偶者の方が4/3で共同相続することになります。そして配偶者が亡くなると、この3/2ないし4/3の相続分が配偶者の親族に相続されます。このような結果は後日後日配偶者の方の相続人とのあいだで複雑な問題となることがあります。
しかし、この場合親族に相続されるのは土地利用権のない建物の2階部分なので配偶者の相続人の方はいわば建物を構成する材木を相続したのと同じことになります。相続人は建物の所有権は取得します。しかし土地の利用権がないので、建物を使うことができません。但しこのような法律状態を無視して建物に居住されてしまう可能性もあります。このような状態は二世帯住宅を建てたときによく起こる問題です。
この場合の解決策について法律に明確な規定はありません(相続人による占拠のばあいは明け渡しの裁判ができますが)。話合いとなり、母上様ないし1階部分と土地の相続人である相談者が2階部分の相続人から建物を一定の評価額で買い取るか、無償で取得することになります。上述のように相談者の方が4/1を相続している場合は配偶者の相続人との間で遺産分割協議、ないし調停で上述の話合いをすることになります。話合いがつかないと建物を切り離すことが物理的にできない状況では土地を含め一括売却して売却代金から2階部分の評価額を配偶者の方の相続人に渡して決着を図らなければならない可能性も出てきます。
こうした問題を回避するには3つの方法が考えられます。①建物の構造を分離可能なあるいは当初から分離された構造として建てること、②は①を選択するか、現行の2階建て二世帯住宅として弟様、配偶者の方に公正証書遺言を作成してもらうこと
③は2世帯住宅の建物全体の所有権を母上様とし、母上様より所有権全部を貴女に相続させる公正証書遺言を作成しておくこと、
①の場合弟様と配偶者の方共同で母上様と土地の使用貸借契約を結び、契約終了時に建物を収去するか貸主側で時価で買い取る旨の特約を付し
ておくことは可能と考えます。但し本体の使用貸借契約が失効して相続されないのに、特約部分のみ有効で存続(相続)されるのか、いささか疑問があります。①の場合は、相談者は弟様所有名義の建物の相続人に対して、建物の収去、明け渡しを要求することが、法理論的には可能なので(倫理的には疑問がありますが)相続人と売り渡し交渉が有利にできます。それでも①で上述の各方法をとった場合それぞれ若干不安が残ります。それゆえ②の確実な方法として、①を選択、あるいはお考えの2階建て二世帯住宅とした上で弟様に2階部分をすべて配偶者の方に相続させる旨の遺言をしてもらい、弟様が亡くなった後に配偶者の方が2階部分を相談者の方に遺贈する旨の公正証書遺言を作成してもらうのが適当と考えます。配偶者の兄弟姉妹には遺留分権(遺言で相談者に渡った遺産を取り戻す権利)はないので、相談者が確実に所有権を取得できます。但し弟様や配偶者の方が公正証書の作成に同意してくれなければ実行できません。
③は一番簡明ですが、相続開始後弟様より、遺留分減殺請求される可能性はあります。人の気持ちは将来変わります。
弁護士回答の続きを読む
住所 | : | 東京都文京区本郷3-19-4TLC本郷 |
---|---|---|
対応地域 | : | 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 静岡県 |
【弁護士歴30年】【個室完備】【初回面談無料|事前予約で夜間・休日対応可】不動産トラブル・相続問題を得意としております。《月額サポートプランあり》
この質問に関連する法律相談
1年半前に母親が亡くなり、(父は既に他界してます)相続人は 姉と私の二人です。姉にも協力してもらい、姉の同意書を持って、銀行を回り預金等‥遺産を集めたのですが、遺言書があり、検認も済ませた後、姉は、その内容が気に入らない様子で、弁護士に依頼し 遺産を再調...
相続が発生しました、兄弟が相続人で4人います。相続財産は預金が1000万円でした。そのうちの一人が家族信託を締結しており、相続開始後1000万円を受け取っていることが分かりました。生命保険金の場合、その一人に受取人が決まっている場合は、他の相続人はその受...
10年ほど前、離婚した妹が自分だけ旧姓に戻し、実の両親(私の親)の戸籍に入籍していたことが最近判明。6年前の母の死亡後、父の通帳を預かり自身の生活費や別居中の二人の子どもに金銭的援助を行っている。
同居はしていないが父の世話と称して父名義の通帳や債...
母が亡くなり、財産調査しています。相続人の1人である私が受取人となっている保険が勝手に解約され母の口座に入金。母は解約できる意志もないため、財産管理している姉が解約したと考えています。その姉が母の口座から保険金の解約金を勝手に下ろしている事実があります。...
相続に関する法律ガイドを見る
遺留分権利者が遺留分を失う相続人廃除とは|廃除の効果と代襲相続人
相続人廃除(相続廃除)とは、推定相続人について著しい非行など一定の事由があった場合に、被相続人の意思に基づいてその人の相続権を剥奪する制度のことをいい、その対象者は「遺留分」を有する推定相続人に限られ、遺言による廃除もできるようになっています。続きを読む
失敗しない遺言書の書き方とすぐに使える文例集|正しい遺言の作り方
遺言書(いごんしょ、ゆいごんしょ)とは、故人が死後の財産等の用途や処分方法を指定するための文書で、法律上はいわゆる遺書と区別して扱われます。日本では、民法が遺言の作り方や効力をきちんと規定しており、民法上の定義としては「人がその死亡後...続きを読む
遺留分減殺請求を行政書士に頼む際の注意点と行政書士の業務範囲まとめ
遺留分減殺請求を専門家に依頼する際に、多くの方が検討するのが「弁護士」「司法書士」「行政書士」といった法律の専門家かと思います。このうち最も費用面で安価といえるのが行政書士ですが、他の士業と比べて業務の範囲が限られていることから、依頼...続きを読む
相続人の一部が遺産を使い込んでしまった場合、相続開始後に他の相続人とトラブルになるケースが多いです。遺産の使い込みを調査するには個人の力では限界があるので、弁護士などの専門家の力を借り、不等利得返還請求や損害賠償請求によって遺産を取り戻しましょう。続きを読む
家族信託を利用しようと考えている人が段々と増えています。そんな家族信託こそ、弁護士に依頼してサポートしてもらうことでより確かなものとなります。 しかしどうして家族信託を弁護士に依頼する必要があるのでしょう。メリットをはじめ、家族信託について紹介します。続きを読む
遺留分減殺請求ができる期間は「減殺請求できることを知ってから1年間」とされているのに対し、相続税の申告・納税の期限は「相続開始から10ヶ月」となっているので、遺留分減殺請求の時期や内容によっては、相続税のほか、所得税や贈与税などが問題になることがあります。続きを読む