生前贈与(特別受益)の持ち戻しについて(根抵当権付)

相続
生前贈与

不動産の生前贈与を含めて遺産相続をする事になっています。

父が21年前に長男に1000万の不動産(家賃収入有)を贈与しました。その不動産には債務がありましたが、その債務は10年前迄父が返済し、それ以降は長男が返済しています。
20年経過し、債務が完済しました。
長男は、その不動産にお金を借りる為に、根抵当権900万をつけました。債務者は長男です。
この様な場合、特別受益の金額はいくらになるのでしょうか?
また、債務者が長男ではなく、長男が社長である会社名義の場合、特別受益の金額はいくらになりますか?

相談者(ID:16890)さん

2020年06月20日

弁護士の回答一覧

ベストアンサーに選ばれた回答
伊藤 正篤
弁護士(市民総合法律事務所)

ご回答いたします。 ご事情が詳しく分かりかねますが, ・お父様がご長男に対し担保付不動...

ご回答いたします。
ご事情が詳しく分かりかねますが,

・お父様がご長男に対し担保付不動産を贈与し,担保の被保全債務(債務者はご長男が社長である会社)自体はお父様が返済を続けてきたが,10年前からご長男が債務の返済を肩代わりするようになった。
・ご長男は,元々お父様が負っていた被保全債務(担保が付く原因となった債務)とは別に,新たに,根抵当権を付けて900万円を借りた。

という前提でよろしければ,概算としては,
・当該不動産の相続開始時の査定価格(A)からご長男が肩代わりして返済した金額(B)を控除した価格(A-B)

ということになると思います。
基準時は相続開始時です。査定価格は,贈与当時は被保全債務があるのでその分低い金額だったでしょうが,返済を続けたことによってその分上昇しているはずですね。
ただし,根抵当権の設定が相続開始前だった場合は,査定価格を出す際,後から付けた根抵当権はないものとして評価する必要があります。

最後に,債務者が,ご長男が社長である会社であったとしても,担保付不動産の所有者がご長男ということであれば,贈与され,また,債務の返済をしてもらい査定価格が上昇したことによって利益を受けたのはご長男になりますので,基本的には,特別受益の金額に影響はありません。

特別受益の金額を出すためには,不動産を正しく評価しなければなりません。
お悩みの場合は一度ご相談ください(不動産の査定自体は不動産会社が無料で行ってくれます。)。
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伊藤 正篤
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松村 英樹
弁護士(松村英樹法律事務所)

ご質問ありがとうございます。 1,持ち戻しの対象になるか まず,特別受益の持ち戻しの対象に...

ご質問ありがとうございます。
1,持ち戻しの対象になるか
まず,特別受益の持ち戻しの対象になるのは,全ての贈与ではありませんので,注意が必要です。本件がそもそも持ち戻しの対象になるものかどうかは,詳しい事実関係を伺った上でないと,何とも言えません。
仮に持ち戻しの対象になる贈与だったと仮定して,以下話を進めます。
2,評価の基準時
特別受益の評価の基準時は原則として相続開始時ですので,現在の不動産の価値でみることになりそうです。現在不動産の債務(住宅ローンでしょうか?)は完済されているとのことですので,時価でみることになるのではないかと思われます。
ただし,ご質問者様の問題意識は,21年前~10年前迄お父様が返済していて,10年前~完済迄長男様が返済されていた点をどう扱うかという点にあるものと推察します。
現在の時価でみることになった場合には,お父様の返済分を特別受益に算入すると,二重に計上していることになるので,そうは考えない可能性が高いです。
これに対して,10年前~完済迄の長男様の返済分については,何らかの形で考慮することが公平なのではないかと思います。不動産の価値が目減りしている場合に,長男様の返済分をそのまま引き算するかというと,躊躇も残るところですが・・・ 他方で,何らかの形で考慮するとして,家賃収入の取扱いをどうするかも多少気になるところではあります。家賃収入も長男様が取得されていたのであれば,別途気にしなくてもよいようには思われますが。
もっとも,この点について確立した取扱いはない可能性が高いですので,調停・審判等の中でどのような判断になるか,現時点では確実なことは申し上げられません。
3,長男による抵当権設定について
(住宅ローン以外の債務について)根抵当権が設定された場合も,特別受益の算定上,不動産の価値から差し引くことにはならない可能性が高いです。
以上ご参考になれば幸いです。
なお,一般的に特別受益が問題になる件と比べて,事案が複雑であるように思われますので,具体的資料をお持ちになって,早めに弁護士にご相談いただいた方がよいように思います。
よろしくお願いいたします。
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好川 久治
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長らく長男が父に返済をしていないなら、贈与があったものとみて、1000万円と10年前までの返済...

長らく長男が父に返済をしていないなら、贈与があったものとみて、1000万円と10年前までの返済金の合計を特別受益とみてよいかと思います。ただし、父が対象不動産に無償で居住していたり、家賃収入で生活していたりしていると、持ち戻し免除の意思表示があったとされることはあると思います。建て替えた相手が会社ですと、特別受益にはなりません。実質一体で個人商店のような場合には、会社=長男とみて、長男への特別受益とみる余地はあると思いますが、そうでなければ受益はないと考えられます。弁護士回答の続きを読む
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好川 久治
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