相続放棄について
義父が亡くなりました。死亡時の財産は不動産・動産資産なしで、10万円程の預貯金のみでした。(実際は、定期預金を担保にした借り入れがあり、預貯金と相殺)
念のため、債務調査をJICC、CIC,KSC(JBA)に行ったところ、消費者金融より借り入れが30万円ほどあるのが発覚しました。
死亡後に完了した手続きは、
1. 義父の銀行口座(預貯金が10万円超)を相続人のひとりが、義母の了解のもと解約。(公共料金の引き落とし口座でもあった為)
債務があるとはその時点で知らなかったため、その預貯金を義母の口座に残金を移した。
2. 義父名義のNTTの固定電話について承継”の手続きをし、義母名義に変更
その他
・ 所持している他のクレジットカードは、未解約
・ 葬儀代は、喪主である義母が支払を完了(義父の預貯金含む)
・ 他の債務があるかは、所持品などを見る限りない
相談内容は、以下の5つです。
1.義父の銀行口座を解約したことにより、相続の意思を示した=法定単純承認?となり、相続放棄の権利はなくなるのか?(他の相続人も?)
2.相続放棄をした(できた)場合、義母が受け取る遺族年金や義父の年金の未収金の受領などはできなくなるのか?(遺族年金は受け取れるが、厚生年金部分は受け取れない?)
3.相続放棄をする場合、義母、子、(義父の両親はすでに他界)、義父の存命中の妹たちがその申述人となるか?
4.相続を放棄せずに現在判明している負債のみを相続人が返済した場合、のちに他の負債が発覚し、相続人らに返済する能力がなかったらどうなるのか?(自己破産か債務整理?)
5.所持しているクレジットカードなどは、もう解約手続きをしてもよいか?残債ゼロ(信用情報関連機関での情報表示がない)。
以上細々としていますが、よろしくお願いいたします。
ご回答によっては、相続放棄をすべきか、家族会議をしなければならないと思っております。(現在は、他の借入金がないと信じて、相続放棄をせずに弁済する予定。)
相談者(ID:16040)さん
弁護士の回答一覧
>1.義父の銀行口座を解約したことにより、相続の意思を示した=法定単純承認?となり、相続放棄の...
調べた結果、30万円ほどの債務が存在することが分かったとのことで、義父の口座を解約し、義母が受け取るまではその存在を認識していなかったということを踏まえると、なおも相続放棄ができると解する余地はありますが、存在した債務は30万円ほどでしかなく、皆が皆、相続放棄をするというレベルの金額ではないので、原則どおり法定単純承認したものとして取り扱われ、相続放棄は認められなくなるものと考えます。
現実に預金解約の手続きをしたのは、義母以外の方なのかも知れませんが、あくまでも義母の了解を得て解約処理をし、実際、解約時の預金額については偽棒の名義の口座に入金したとのことですから、義父の遺産を受け取ったのは義母であるということになります。ですので法定単純承認として相続放棄ができないのは義母だけで、ほかの方は関係ないと思います。
>2.相続放棄をした(できた)場合、義母が受け取る遺族年金や義父の年金の未収金の受領などはできなくなるのか?
遺族年金は、義母が相続放棄をしたこととは関係なく、義父の遺族であるという地位に基づき、元々義母が受け取れるものなのであって、義父の年金を相続するわけではありませんから問題なく受け取れます。
しかし義父が年金を受給しないままに亡くなられた事による、未払いの年金を受け取ることはできません。それは義父の権利を相続するものだからです。
>3.相続放棄をする場合、義母、子、(義父の両親はすでに他界)、義父の存命中の妹たちがその申述人となるか?
あくまでもそれぞれの方の判断ですが、法定相続の順序に従って順次、相続放棄の申述をするかどうか決める立場に置かれることになります。
即ち、第一順位の相続人は、子です。義父の子が全員、相続放棄をしたとすれば、第二順位である、義父の存続が相続人となるわけで相続放棄をするかどうか検討すべき順番となります。ご両親は既に他界されていたとしても、祖父母達の中にご健在な方がおられれば、その方が相続人となります。まず通常はおられないでしょうが、建前としてはそうなります。
ついで義父の尊属が誰もおられなかった場合、あるいは生存されている尊属の全員が相続放棄をされた場合には、第三順位である義父の兄弟姉妹が相続放棄をするかどうか判断すべき立場に置かれることになります。
結局、一度に相続放棄の手続きをすることはできず、あくまでもタイミングをずらして順々に行うことになります。
>4.相続を放棄せずに現在判明している負債のみを相続人が返済した場合、のちに他の負債が発覚し、相続人らに返済する能力がなかったらどうなるのか?(自己破産か債務整理?)
そのようなことは極めてレアケースだとは存じますが、もしそのようなことになってしまった場合には、確かに自己破産をすることを含めた債務整理を考えなければならないことになるかと思います。
>5.所持しているクレジットカードなどは、もう解約手続きをしてもよいか?残債ゼロ
もちろんです。解約しないままにしておく理由は何もありません。ですが、積極的に解約処理をする必要はなく、カード会社に会員であった義父がお亡くなりになったことを知らせさえすれば、自動的に解約扱いにしてくれます。
まさにそれは保存行為というべきもので、相続放棄を考えている場合に、支障が生ずることはありません。
>現在は、他の借入金がないと信じて、相続放棄をせずに弁済する予定。
私もそれでよろしいかと思います。信用情報機関で調べたわけで、それ以上に多額の負債があるとは考えられません。弁護士回答の続きを読む
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