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KL2020・OD・037
電話勧誘販売(でんわかんゆうはんばい)とは、販売者が消費者に電話をかけて商品やサービスを契約させるセールス手法です。
この手法自体は違法ではありませんが、消費者からすると不意打ち的な販売方法のため、必要ないものを買ってしまう消費者も多くいます。そのような人たちがゆっくり頭を冷やして考え直すための期間として8日間のクーリングオフ期間が用意されています。
今回は、電話勧誘販売の問題点、電話勧誘販売の上手な断り方、商品を買ってしまいやすい人の特徴、いらないものを買ってしまったときの対処法をお伝えします。
目次
不意にかかってくる電話勧誘販売。しつこく商品を勧められたり、上手く断れなかったりして困った経験は誰にでもあるかもしれません。ただ、冒頭でもお伝えしたように、すべての電話勧誘販売が法に触れるわけではありません。
本題に入る前に、問題のある電話勧誘販売方法を理解しておきましょう。
電話勧誘販売をする際、業者は消費者に対して次のことを説明しなければいけないと特定商取引法十六条で決められています。
例えば送り付け商法など悪徳な販売業者の場合、業者の名前を伝えないままカニを送り付けたりしてくることも。
クーリングオフをする際は書面で行わなければなりませんから、業者名がわからなければ住所を調べられないので対応が難しくなります。
(電話勧誘販売における氏名等の明示)
第十六条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称及びその勧誘を行う者の氏名並びに商品若しくは権利又は役務の種類並びにその電話が売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げなければならない。
引用元:特定商取引法第十六条
特定商取引法では、次の行為が禁止されています
例えば、真実は異なるのに、「ガンに効く」「腰痛が治る」と伝え契約するのが不実告知で、更新料がかかると説明しないまま浄水機を契約させるのが事実不告知です。
(禁止行為)
第二十一条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
一 商品の種類及びその性能若しくは品質又は権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして主務省令で定める事項
二 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価
三 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
四 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
五 当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込みの撤回又は当該売買契約若しくは当該役務提供契約の解除に関する事項(第二十四条第一項から第七項までの規定に関する事項(第二十六条第三項又は第四項の規定の適用がある場合にあつては、同条第三項又は第四項の規定に関する事項を含む。)を含む。)
六 電話勧誘顧客が当該売買契約又は当該役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項
七 前各号に掲げるもののほか、当該売買契約又は当該役務提供契約に関する事項であつて、電話勧誘顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの
2 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、前項第一号から第五号までに掲げる事項につき、故意に事実を告げない行為をしてはならない。
3 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。
引用元:特定商取引法第二十一条
電話越しにやたらと喚き立てる、「今から家へ行く」「解約金を取り立てる」と脅すなど、消費者が恐怖を感じる行為をすることを威迫といいます。
威迫されて商品やサービスを購入した場合、泣き寝入りをしてしまう人も多いですが、法律上は契約を取り消すことができます。
販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。
引用元:特定商取引法第六条
商品やサービスを契約する際、業者は消費者に次の内容を記入した書面を交付しなくてはなりません。
一 商品若しくは権利又は役務の種類
二 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価
三 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
四 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
五 第二十四条第一項の規定による売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又は売買契約若しくは役務提供契約の解除に関する事項(同条第二項から第七項までの規定に関する事項(第二十六条第三項又は第四項の規定の適用がある場合にあつては、同条第三項又は第四項の規定に関する事項を含む。)を含む。)
六 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項
引用元:特定商取引法第十八条
一度断ったのに何度もしつこく電話がかかってくることもあるでしょう。実は、一度断った人への再勧誘は特定商取引法で禁止されています。
販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。
引用元:特定商取引法第十七条
いらないと思っていても、なかなか電話勧誘を断りにくい人もいるでしょう。勧誘者側は断られたときの切り返しをマニュアル等で訓練しているので、何の対策もしていない人は断りにくくて当然です。
そこで、ここでは電話勧誘販売の上手な断り方を5つご紹介します。
断りにくい人は、そもそも知らない人からの電話に出ないようにしておけば、しつこい勧誘に悩まないでよくなります。
とは言え、知っている人からの電話や重要な連絡を聞き漏らすわけにはいかないですよね。具体的にどうすれば弊害がないのかお伝えします。
NTTのナンバーディスプレイを利用すると、どの番号からかかってきているのかわかるようになります。
知っている人からの番号であれば出ればいいですし、そうでなければ一旦放置して、jpnumberで検索しましょう。どこからかかってきているのかがわかります。
また、留守番電話に設定しておくのも良いでしょう。大事なことであればメッセージが残りますから、必要な場合だけ折り返し電話できます。
とはいえ、電話勧誘販売のためにそこまでするのは大げさだと思う人もいるでしょう。電話に出るのであれば、大前提として「いらないものは断固断る」と決めておきましょう。
優しい人や生真面目な人は特に注意です。相手の話を素直に聞いたり、「この人は押しに弱い」「きっぱり断れない人だ」と思われたりするやいなや怒涛の営業トークが始まります。
そもそも迷惑電話ですから、話をまともに聞いてはいけません。「必要ありません」とはっきり断るんだとまず決めてください。
いきなりセールスに入らずに、「〇〇のアンケートにご協力をお願いしているのですが」とハードルを下げることで話をさせてもらおうとする業者がいます。
アンケートに回答すること自体そもそも時間がかかりますし、答えたあとも「ご回答ありがとうございました。失礼します」とはなかなかなりません。
その後にしつこい勧誘が待っている可能性もありますから、ハードルの低い要求をされてもあなたにとって不要であれば断固拒否しましょう。
「考えておきます」など当たり障りのない断り方はダメです。いずれにも解釈できますし、断れない人だと思われるとガンガン勧誘してきます。優しい人は特に気をつけましょう。
その場しのぎの方法ではありますが、上記のように伝えると「ご主人様はいつお戻りですか?」と聞かれるかと思います。
「お伝えする必要はありません」と断れるなら断ればいいですし、それが無理なら適当な時間を伝えて電話が切れたあと着信拒否をするといいでしょう。ご主人さまがキチンと断れる人なのであれば、かわりに断ってもらうのもアリかと思います。
聞かれたことは案外正直に答えてしまうものです。
「現在はどちらの商品をお使いですか?」
「○○でお困りのことはございませんか?」
など色々聞かれるかと思いますが、律儀に答えていると相手に隙を見せるだけです。
そもそも相手は隙があって商品を売れそうな人を探していますから、いちいち返答するのは相手の思うつぼですから気をつけましょう。
電話勧誘販売でいらない商品を買ってしまいやすい人の特徴は一言で言うと「断れない人」です。具体的に確認していきましょう。
お年寄りは商品が良いのか悪いのか判断できない人も多いですし、若い人のようにインターネットで調べる習慣がないことも多いので騙されてもなかなか気づきません。
また、お年寄りともなれば身体のどこかに不調の1つや2つ抱えていて、「誰かにすがりたい」と心の何処かで思っている人もいるでしょう。
ただでさえ騙されやすい上に、「騙されてるよ」と教えてくれる人が周りにいなければ、どんどん老後資金を吸い取られてしまいます。
はなかなか「No」と言えません。確かに人に嫌われるのは怖いことかもしれません。
ただ、悪徳な業者は一度商品を購入した人を『カモリスト』に掲載し業者間で共有するので、しつこい勧誘に折れて商品を買うのは、再び勧誘される覚悟があるときだけにしましょう。
高額な商品を買わせようとしている詐欺的な人にも、しっかりと対応しなければいけないと思い込んでいる人も商品を買ってしまいやすいでしょう。
いらない商品を買っても平気ならそれでも良いのですが、相手の狙いまでもしっかり考えて断れるようにした方がいいかと思います。
ここでは、悪質な電話勧誘販売の事例を見ていきましょう。
引越業者と引っ越しの打ち合わせをしていた時、水の宅配のチラシをもらった。後日、引越業者の担当者から「今ならウォーターサーバー(以下、サーバー)が無料でレンタルできるキャンペーン中だ」と説明されたので「いいですね」と答えた。すると、水の販売代理店C社から「水の代金だけでサーバーが無料レンタルできるのでお得だ」と電話がかかってきた。「考えさせてほしい」と答えたが、数日後に再びC社から電話で勧誘され、電話口で申し込むと言ってしまった。その際に中途解約時の解約料の話はなかった。やはり、必要ないと思い、すぐにC社にキャンセルを申し出たが、「解約料がかかるので続けたほうがいい」と言われ、しかたなく受け取った。その後、消費生活センターに相談し、自分でC社にクーリング・オフ通知を出した。C社からは「クーリング・オフはやっていない」と言われ、解約料14,000円を請求された。契約時に解約料の説明はされていないので支払いたくない。なお、契約書はもらっていない。
(20歳代 女性 給与生活者)
引用元:国民生活センター
被害者は「考えさせて欲しい」といってはっきり断れなかったために、再び勧誘されて契約をしてしまいました。
また、業者の対応にもおかしな点が3つほどあります。
電話勧誘販売の場合は書面を受け取ってから8日間クーリングオフができるので、1は不実告知です。
損害賠償は、商品やサービスの価格、商品やサービスを提供するのにかかった費用以上に請求できませんから、解約料14,000円は何が根拠になっているのかも確かめるべきでしょう。
また、契約書をもらっていないのでクーリングオフ期間の8日間が過ぎていてもクーリングオフができます。
電話勧誘販売でいらないものを買ってしまったときにどうすれば良いのかお伝えします。
電話勧誘販売の場合、クーリングオフができるのは書面を受け取ってから8日間です。もし、契約をして8日経っていないのであれば、クーリングオフする旨を販売会社に書面で伝えましょう。
ハガキに次のように記入したうえで両面のコピーを取り、簡易書留や特定記録郵便で販売会社に送付します。
8日間を過ぎていても次の場合はクーリングオフできます。
クーリングオフ期間は書面を受け取ってから8日間です。書面を受け取っていなければクーリングオフ期間がスタートしていないのでご安心ください。
クーリングオフ妨害行為とは、クーリングオフをさせないように妨害することです。「クーリングオフできない」と嘘をついたり、脅すことでクーリングオフをさせなかったりするのはクーリングオフ妨害行為ですから、期限が過ぎていても契約を取り消せます。
既にお伝えしたように、不実告知・事実不告知・威迫などがあった場合は契約を取り消せます。
「解約すれば損害賠償が発生する」と言われクーリングオフができなかった人もいるでしょう。しかし、損害賠償に関しては、次の額が上限です。
これを超えた金額に関しては請求されても支払いの責任はありません。
(電話勧誘販売における契約の解除等に伴う損害賠償等の額の制限)
第二十五条 販売業者又は役務提供事業者は、第十九条第一項各号のいずれかに該当する売買契約又は役務提供契約の締結をした場合において、その売買契約又はその役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を購入者又は役務の提供を受ける者に対して請求することができない。
一 当該商品又は当該権利が返還された場合 当該商品の通常の使用料の額又は当該権利の行使により通常得られる利益に相当する額(当該商品又は当該権利の販売価格に相当する額から当該商品又は当該権利の返還された時における価額を控除した額が通常の使用料の額又は当該権利の行使により通常得られる利益に相当する額を超えるときは、その額)
二 当該商品又は当該権利が返還されない場合 当該商品又は当該権利の販売価格に相当する額
三 当該役務提供契約の解除が当該役務の提供の開始後である場合 提供された当該役務の対価に相当する額
四 当該契約の解除が当該商品の引渡し若しくは当該権利の移転又は当該役務の提供の開始前である場合 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額
2 販売業者又は役務提供事業者は、第十九条第一項各号のいずれかに該当する売買契約又は役務提供契約の締結をした場合において、その売買契約についての代金又はその役務提供契約についての対価の全部又は一部の支払の義務が履行されない場合(売買契約又は役務提供契約が解除された場合を除く。)には、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、当該商品若しくは当該権利の販売価格又は当該役務の対価に相当する額から既に支払われた当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の額を控除した額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を購入者又は役務の提供を受ける者に対して請求することができない。
引用元:特定商取引法二十五条
クーリングオフには期限がありますし、対策をしてきている業者に対して一個人だけで解決できない場合もあるでしょう。そんなときは、専門家の力を借りた方がスムーズに問題を解決できます。
消費者被害を受けた際に相談できる独立行政法人です。クーリングオフがスムーズに進まなかったり、妨害を受けたりした場合などに対処法を相談できます。
被害額が高額な場合は、弁護士に相談することでクーリングオフ等を代行してもらう事もできます。
クーリングオフには期間もありますし、時間が過ぎた場合業者が姿をくらませてしまうこともありますから、できるだけ早めに対応した方がいいでしょう。
今回の要点は次の5つです。業者の言うことを鵜呑みにせず、対処法を調べたり専門家に相談したりしましょう。早めに行動するのが大切です。
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