還付金詐欺の手口と対策とは|被害にあったら警察と銀行へ連絡を

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
還付金詐欺の手口と対策とは|被害にあったら警察と銀行へ連絡を

還付金詐欺(かんぷきんさぎ)とは、振り込め詐欺の一種で、医療費過払いなどの理由でお金を受け取れると告げて被害者をATMに向かわせ、携帯電話で嘘の指示をしながらお金を振り込ませる詐欺のことをいいます。

還付金詐欺を含む特殊詐欺の認知件数は、平成28年で14,151件、被害総額は406.3億円と被害規模は大きくなっています。

ATMの操作に慣れない高齢者がターゲットになることも多いようです。

 警視庁|認知件数及び被害額の推移

引用元:警視庁|認知件数及び被害額の推移

今回は、還付金詐欺の手口と事例、詐欺に遭った際の対処法と、被害を未然に防ぐ方法をご説明します。

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還付金詐欺の手口

まず、還付金詐欺の手口を見ていきましょう。

コンタクトは文章か電話でとることが多い

文章で通知する

公的機関や民間企業を装ったハガキなどをポストに入れ、差額の返却をするのでこちらまで連絡を下さいと書き、電話で連絡させようとします。

電話で通知する

文章を介さずいきなり電話をかけてくるパターンもあります。「還付金を振り込んだのですが、ご確認いただけたでしょうか」「ATMで還付金を受け取る手続きをしてください」などと、被害者がATMに向かいたくなるように仕向けます。

お金を受け取れると告げる

オレオレ詐欺などのように『お金を振り込め』というのではなく、『お金を受け取れる』と告げるのが還付金詐欺の特徴です。受け取れるお金の名目には、例えば次のようなものがあります。

  • 医療費過払い
  • 税金過払い
  • 保険料還付
  • 年金未払い分の還付

期限を提示し焦らせる

被害者を焦らせて冷静な判断をできなくするのは詐欺の典型的な手段です。

  • 「今日中に取引しないと、還付金を受け取れなくなる」
  • 「期限内に取引しないと年金不正受給とみなされ、今後年金を受け取れなくなる」

などと期限を提示し被害者を焦らせます。また、期限を逃せばお金を受け取れなくなるなど恐怖感を同時に植え付け、すぐ行動しないといけないという気持ちにさせていきます。

公的機関の職員に成りすまし信用させる

自治体や銀行、年金事務所、税務署を語り、被害者を信用させようとします。このような手口をかたり商法といいます。

とりあえずATMへ足を運ばせる

ここまででご説明したように、期限内であればお金を受け取れると思わせ、すぐに被害者をATMへ誘導します。管理者の目が届きにくいATMを指定する場合もあります。

ATM

ATMの操作に不慣れの人がターゲットになりやすいようです。携帯電話で指示をして、受け取る操作と振り込む操作を誤認させてきます。振込のボタンを押して下さいとは言わず、右から三番目のボタンを押してくださいと言ったように場所を指示することで、振り込みをしているという自覚を奪っていきます。

還付金詐欺の事例

還付金詐欺の事例ここでは、実際にあった事例を見ていきましょう。

 還付金詐欺の事例1

自宅に市の福祉事務所を名乗って電話があり、「医療費を還付する案内のはがきを送っているが、届いていないか」と言われた。「届いていない」と答えると、「こちらで受け付けている。近くのコンビニに行って、ATMの前から指定の電話番号へ連絡するように」と指示された。コンビニから連絡し、指示されるままにATMを操作したが、出てきた明細を見ると、約100万円を振り込んだことになっていた。(60歳代 男性)

引用元:国民生活センター|医療費などの還付金詐欺に注意!

 還付金詐欺の事例2

公的機関を名乗る人から、「払いすぎた医療費の還付がある」と電話があった。「金融機関では還付に対応できないので、市役所かコンビニ、あるいは病院のATMに行くように」と言われた。市役所に行き、ATMの前から携帯電話で教えられた先に連絡し、指示通りに操作をして還付の手続きをしたが、通帳を確認すると、知らない人物に100万円近く送金してしまっていた。どうしたらいいか。(60歳代 女性)

引用元:国民生活センター|またまた増えてる!?還付金詐欺にご注意!

どちらの例も、お金を受け取れると錯覚させた被害者をATMに誘導し、携帯電話で指示してATMを操作させています。どちらの被害者も操作後に振り込んでしまったと気づけましたが、すぐ気づけたのであればまだお金が戻ってくるチャンスがあります。詳しくは次に説明します。

還付金詐欺に遭った際の対処法は

還付金詐欺かな、と思ったらすぐに警察、国民生活センター、取引銀行に連絡を入れましょう。

警察に連絡する

詐欺に遭ったと自覚のある人は、まず警察に通報した後取引銀行に連絡をしてください。

国民生活センターに連絡する

詐欺かどうかわからないけど怪しいと思っている人は、国民生活センターに連絡して詐欺かどうかを確認しましょう。

取引銀行に連絡する

お金を振り込んでしまった場合は、できるだけすぐに取引銀行に連絡を入れることをおすすめします。

増加する振り込め詐欺に対処するため「振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)」が2008年に制定されました。振込先の口座にお金が残っていれば、被害人数や被害額に応じて、口座に残っているお金を払い戻してもらえます。

還付金詐欺を未然に防ぐには

上記の方法を試しても、口座にお金が残っていなければお金は戻ってきません。一番いいのは、還付金詐欺という手口があると知り、未然に防ぐことです。以下では詳しい防止策をご説明します。

電話で何を言われてもATMに足を運ばない

ATMで還付金を受け取れることも、還付金受取でATMの操作を求められることは絶対にありません。この事実さえ知っていれば引っかからない詐欺です。

相手の氏名、所属、電話番号を聞き確認する

詐欺師は公的機関になりすまして被害者を信用させようとしてきます。怪しいなと感じたら、相手から氏名、所属、電話番号を聞き出し、電話帳やインターネットで情報が本当なのかを調べましょう。

怪しいと思った時点で誰かに相談をする

詐欺はこちらの焦りを利用します。そのまますぐに行動せず、冷静な他の人に相談することで「それは詐欺だよ」と指摘してもらえます。一人で焦って判断しないことが大切です。

ATMの利用限度額を下げておく

身内に判断力が弱まった高齢者がいらっしゃるなら、ATMの1日あたりの利用限度額を下げておくのがオススメです。騙しの手口は日々進化しているので、いつ騙されるかわかりません。

はじめからATMで大金を払えないような仕組みにしておくことで、仮にターゲットになってしまった場合でも被害を最小限に抑えることができます。

まとめ

還付金詐欺はお金を受け取れると被害者を騙し、ATMに向かわせてお金を振り込ませる詐欺です。犯人の口座にお金が残っていれば取り戻せるチャンスはあるので、できるだけはやく警察や取引銀行に連絡しましょう。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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