過払い金請求の消滅時効は10年|時効を過ぎても請求可能な場合と対処法

弁護士法人ネクスパート法律事務所
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過払い金請求の消滅時効は10年|時効を過ぎても請求可能な場合と対処法

『過払い金請求の時効が迫っています』こんな広告をTV・CM・電車内などで見たことは多いと思います。基本的に過払金返還請求の時効は10年と定められており(民法第167条)、起算日は債務者(過払金利息返還請求者)の元本完済日となります。

(債権等の消滅時効)

第一六七条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

(引用:民法167条)

例えば、2007年に借入れし、2012年4月に完済した場合、過払金返還請求権が消滅時効にかかる時期は、完済日の10年後である2022年4月です。

しかし、実は時効を過ぎてしまっても条件を満たせば過払い金請求ができる場合があります

ここでは、過払い金の時効を迎えてしまった人・時効になりそうな方に向けて、過払い金を取り戻す方法をお伝えしますので参考にしていただければ幸いです。

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過払い金の時効を迎えていないか確認する

最初にやるべきことは、「いつお金を完済したか」という事実を確認することです。上記の通り、完済日から10年後が消滅時効の期限となる為です。

完済日の確認にあたっては、貸金業者に取引履歴の請求を行ってください。

取引履歴には【契約日時・借り入れ金・返済日】などが書かれており、取引履歴を見れば完済した日はいつなのか一目瞭然です。取引履歴の請求方法は、ご自身が借りていた貸金業者のホームページを見て確認してください。

消滅時効が迫っているなら時効の期限を延長させる

消滅時効が迫っているなら時効の期限を延長させる

1:消滅時効期間満了間近であれば催告(裁判外の請求)をする

まもなく消滅時効を迎えてしまうという人は、催告を行ってください。催告とは、過払い金を返還するよう貸金業者に求めることを言います。催告の方式は決まっておらず、口頭で行ったとしても有効となりますが、後々裁判などの争いになった場合に備えて、請求書を内容証明郵便(※)で貸金業者に送付することが一般的です。

(※) 内容証明郵便…いつ・誰が・どんな内容をどこに送ったのか分かる書類。郵便局で送ることができる。

注意点として、催告はあくまで裁判上の請求を行う為の準備期間を獲得する為の手段として位置付けられているものであり、時効中断の効果が催告の日から6ヶ月間しかないことです。6ヶ月の間に、次に説明する裁判上の請求を行うようにしてください。

また、催告は緊急措置である為、1度しか使えません。期限の延長をしたからといって安心していたら、すぐにまた消滅時効を迎えてしまうことになりかねませんのでご注意ください。

 2:裁判上の請求で時効を中断する

先ほどご説明した催告(裁判外での請求)はあくまで時効完成を一時的にストップするための措置です。時効を確実に中断させるのであれば、裁判上の請求(訴訟提起・支払督促・民事調停)を行って下さい。

以下民法第147条に則って、裁判上の請求に係る申立てが受理された時点で時効が中断される事となります。

(時効の中断事由)

第一四七条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。

一 請求

(引用:民法第147条)

訴訟提起

裁判所に過払い金の返還を求める訴えを起こすこと

支払督促

裁判所を通して貸金業者に対して督促状を出してもらうこと。異議申し立てなどがなければ、強制執行手続きへ移ることも可能になる。

民事調停

紛争解決の為に家庭裁判所で話し合いを求めること。和解に近い。

10年以上経っても過払い金請求できるケース

借金を完済してから10年が経過すると消滅時効にかかり、過払い金請求できません。しかし、一定の条件を満たせば10年以上経った場合でも過払い金請求できる場合があります。

同じ金融業者から何回も借入れしているケース

同じ金融業者から何回も借入れを行っていて、①既に完済から10年以上が経過している借入れと、②完済からまだ10年が経過していない借入れがあった場合、①と②が「一連の取引」と認められれば①についても過払い金の返還請求を行うことが可能です。

債務者側としては、①と②の借入れが「一連の取引」である方が有利であり、貸金業者側としては、①と②の借入れが「分断された取引」である方が有利となる為、この点は裁判上でも争点となりやすく、様々な判例も出ています。

「一連の取引」か「分断された取引」かの判断ポイントは、

  1. ①と②の借入れに係る契約が同一の契約書に基づいた取引であるか(同一の契約書である場合、「一連の取引」と判断されやすくなる)
  2. ①の借入れから②の借入れまでどれだけ期間が空いているか(あまり期間が空いていない場合、「一連の取引」と判断されやすくなる)など

色々なポイントがあり、個別事情も勘案されることから、該当する方はぜひ弁護士・司法書士などの専門家にご相談いただければと思います

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消滅時効にかかった過払い金があり、現在もその金融業者から借入れを行っているケース

過払い金が消滅時効にかかったとしても、同じ金融業者から引き続き借入れを行っている場合、以下民法508条の通り、過払い金と借入金を相殺できる場合があります。

現金としては手元に戻ってきませんが、借金を減らすことが可能となります。

(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)

第五〇八条 時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる

(引用:民法第508条)

過払い金が消滅時効にかかる前に相殺に適する状態(相殺適状)となっていたことが必要な条件となりますが、この相殺適状について、2013年に最高裁から消費者側にとって厳しい判決が出ました(最高裁平成25年2月28日第一小法廷判決)。

具体的には、相殺適状という為には、消滅時効にかかる前に、消費者が滞納などにより借入金の全額返済を求められてしまっている状態であること(現実に期限の利益を放棄したり喪失したりして弁済期が到来していること)が必要であると判示されました。

裁判所では時効が過ぎても過払い金を請求できると判断した事例

この判例は、貸金業者との間で借入れと返済を繰り返してきた原告が、利息制限法の上限を超えて支払った分について過払い金が発生していると主張し、不当利得返還請求権で過払い金の返還を求めた事案です。

貸金業者は、過払い金の発生から10年が経過しており、消滅時効にかかっていることから支払い義務がないと主張しました。これに対して裁判所は、

原審は,本件各貸付けは1個の連続した貸付取引であり,その元利充当計算は各取引を一連のものとして通算してすべきであって,Aが支払った制限超過部分が元本に充当された結果過払金が発生し,その後に新たな貸付けに係る債務が発生した場合であっても,当該過払金は新たな貸付けに係る債務に充当されるものと解すべきである

引用:不当利得返還請求事件|裁判所

と判断し、利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものと解された事例になります。

裁判年月日 平成19年 7月19日

裁判所名 最高裁第一小法廷 裁判区分 判決

事件番号 平18(受)1534号

事件名 不当利得返還請求事件

裁判結果 上告棄却

文献番号 2007WLJPCA07190002

まとめ

「借金も完済したし、過払金請求の時効も過ぎただろうから」と思って行動しなければ、取り返せるお金を捨てることになってしまうかもしれません。本当に過払い金請求できないか、貸金業者のホームページを見る・取引履歴を取り寄せて確認してみることをおすすめします。

過払い金の時効が迫っている方は催告や裁判上の請求を利用してください。催告はご自身でもできますが、裁判上の請求は難しい手続きもあるので弁護士にぜひご相談ください。

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2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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