女性から男性へのセクハラ被害
初めて相談致します。
現在の会社に入社して4年経過しましたが、入社来悩まされている、女性社員達からのセクハラ行為について質問させて頂きます。
<内容>
①私がロッカールームで着替え中、数回、入口扉を全開放された。
②朝のラジオ体操中、体操を一切せずに女性数名が横並びで私を凝視する。
③衣替えの時期や、私が腕まくりをした時等、2m位の位置から女性数名が横並びで私を凝視する。
④私が水玉のネクタイをして出社すると「勝負ネクタイ」とはやしたてる。
⑤知人の娘さんの命日に、遺影をPCの待受けにしていると「新彼女じゃない?」等と噂を流す。
⑥昼休み中、私の背後1m位の位置で女性達が並んで、私が何を飲んでいるのか、PCで何を見ているのかヒソヒソ話しあう。
※私は身体を鍛えるのが趣味で、コンテストに出場しています。
①は入社直後に数回されましたが、誰かが咎めている声が聞こえ、以降無くなりました。
しかし②③は未だに度々されるので、不快ですし、気持ちが悪いです。
直接、当事者達に注意すると仕事をしにくくなるので、他の男性社員数名に、それとなく話したところ、「確かに見てますね」「別に良いじゃないですか?」等つれない返答でしたが、一部の女性達には効果があった様で、凝視しなくなった方もいます。
自分達が男性に同様の事をされたら、間違い無く「セクハラ」と騒ぐと思うのですが。自分がされて嫌な事は、他人にしてはいけないと思えないのか不思議です。
周囲の男性達や、上司の方達も知っているハズなのに、何故注意しないのか?考えるのが嫌で、会社を辞めようかと真剣に悩んでいます。
女性達は私を「とっつき難い」「怖い」「話しかけるの緊張する」等と言っているのが聞こえますが、4年間もセクハラされてたら、必要以上に会話をしなくなるのは当然だと思うのですが。
これらの行為は、民事的に訴えられるのか、また訴えるとすれば当事者達なのか、それとも放置している会社になるのか、御教示頂ければ幸いです。
お忙しい中恐縮ですが、ご回答の程、お願い申し上げます。
相談者(ID:2693)さん
弁護士の回答一覧
始めまして。弁護士の小堀と申します。 まず、誰を訴えるかについて、これは一般論となります...
まず、誰を訴えるかについて、これは一般論となりますが、
社内におけるセクハラの被告は、第一に加害者本人、第二に使用者たる会社となります。
加害者本人の責任が認められても、常に会社の責任が認められるわけではないので、
「第一に」「第二に」という言い方をしていますが、
支払能力等を考慮すると、会社を被告にすることが重要になることも少なくありません。
会社の責任がないことが明らかであるとか、会社とは波風を立てたくない等の事情がなければ、両方訴えることが多いものと思われます。
次に、違法なセクハラと認められるかの基準について、裁判所(名古屋高裁金沢支部)は、
「行為の態様、行為者である男性の職務上の地位、年齢、婚姻歴の有無、両者のそれまでの関係、当該言動の行なわれた場所、その言動の反復・継続性、被害女性の対応等を総合的にみて、それらが社会的見地から不相当とされる程度のものである場合には、性的自由ないし性的自己決定権等の人格権を侵害するものとして、違法となる」
としています。
(これは事案が男性⇒女性だったので上記のような表現になっています)
ご相談内容①~⑥のうち、たびたびされるという②③(凝視する)については、
身体の接触をする場合や性的な言葉を直接浴びせる場合などの一般的なセクハラ事案と比較すると、
基本的には侵害の程度は低く、④⑤⑥を考慮しても、
「社会的見地から不相当とされる程度のもの」と判断されるには、かなりの事情を積み重ねる必要があると思われます。
ですので、いきなり裁判を検討されるよりも、
まずは上司にはっきりと自分の心情を伝え(上司が何もしないのも、TAKA様がどのような心情になっているのか分かっていないから、という可能性もあります)、
それでも改善されないようであれば、東京都労働相談情報センターなどの行政の相談窓口に相談されるのが良いのではないでしょうか。
※追記※
>2.金沢セクハラ事件は、本件と射程が異なります(悪質な強制わいせつ系)。
という指摘がされているので,この点について追記致します。
名古屋高裁金沢支部平成8年10月30日(以下「金沢セクハラ事件判決」といいます。)は,
本件とは事案が異なります。
しかし,金沢セクハラ事件判決の示した判断基準は抽象的なものであり,
事案が異なれば適用できなくなるようなものではありません。
すなわち,同判決の判断基準は,短めに言い換えると
「諸般の事情を総合的に考慮して,それらが社会的見地から不相当とされる程度のものである場合には違法である」といったものであり,これが本件に適用できないようなものとは思われません。
セクハラと主張される言動が違法であるかどうかを,必ずこの基準によって判断しなければならないわけではありませんが,一つの参考にはなるはずです。
また,金沢セクハラ事件判決の事案は,身体への接触や性交渉の未遂を含むものですが,
そのような事案においても上記のハードル(「社会的見地から不相当とされる程度のもの」であること)を超えなければ違法と認められないのですから,
身体の接触などが存在しない本件において,上記のハードルを超えなくても違法と認められる(例えば,当事者が不快感を覚えれば違法である,など)という考えは,極めて成立しにくいでしょう。
もちろん,本件で違法なセクハラ(セクハラに違法なものとそうでないものがあると考えているわけでありませんが,便宜上,このような表現をしています)
の存在が認められる余地がないということはありませんが,
違法なセクハラの存在を理由として訴訟を起こすのであれば,少なくとも,主要な行為である「凝視」(②③)について,
その時間や頻度,見つめられた日時や場所,状況,見つめてきた女子社員の人数,女子社員との関係性などについての事情を積み重ねる必要はあるでしょう(もちろん証拠の確保も必要です)。
なお,
>本件は少なくとも環境型セクハラが成立する可能性が高いです。本件の言動が、これらに該当するかどうか、証拠に基づいて、子細な分析と慎重な対応が必要です。
とのことですが,本件の言動が環境型セクハラに該当するかどうかについて,証拠に基づいて子細な分析と慎重な対応が必要といいつつ,
環境型セクハラが成立する可能性が高いと言い切るのは少々不思議な感じがします。弁護士回答の続きを読む
お困りのことと存じます。詳しい事情がわからないので、一般論としてご回答いたします。 1....
1.男性から女性へのセクハラも成立します。
2.金沢セクハラ事件は、本件と射程が異なります(悪質な強制わいせつ系)。
3.本件は少なくとも環境型セクハラが成立する可能性が高いです。本件の言動が、これらに該当するかどうか、証拠に基づいて、子細な分析と慎重な対応が必要です。
気軽に、ということであれば(その場合も真剣な相談でお願いいたします)、労働局に相談されて下さい。法的に正確に分析されたい場合には、労働法にかなり詳しく、本件に関係した法理等にも通じた弁護士に相談し、証拠をもとにしながら具体的な話をなさった上で、今後の対応を検討するべきです。
弊所は、ここ=ネットでは、回答を終えさせて頂き、さらなるご質問は、希望される場合にのみ、有料相談でお受けいたします。良い解決になりますよう祈念しております。不当な扱いには断固戦いましょう! 良い解決になりますよう祈念しております。
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