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KL2020・OD・037
労災に見舞われたときはすぐ、必要な手続きをしていきましょう。怪我をしてそれどころではないかもしれませんが、遅くなればなるほど支援のタイミングがどんどん遅くなってしまいます。
いつか見舞われるかもしれない労災、そんなときに知っておきたい6つのポイントをまとめてみました。この記事では労災の手続きで知っておきたい点をご紹介していきます。
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目次
労災に見舞われた際、必要な手続きとなる工程には順番があります。闇雲に申請すればいいではなく、以下の図のように労災保険を申請する手続きを行っていきます。
労災の手続きをするときは、まず初めに怪我の治療からです。その後、怪我のために休業しなければならないのかどうか判断します。
続いて申請するにあたり、誰がどんな書類を用意しなければならないのかを把握します。そして最後に、労基署長へ申請することで認定されるかどうかが判断されます。
ではこの通り進めていく中で、どんなポイントに気を付けて申請をしていけばいいのか、詳しく見ていきます。
労災は事故があってこそ起こります、そして事故現場で当人が被害にあいます。このとき、必要となるのが「誰が」、「いつ」、「なぜ」、「どこで」、怪我をすることになってしまったのかについて状況確認をします。
事故の概要、被災した状況の確認、現場はどうなっているかなどをはじめとして、これらの情報をまとめます。
ただこのとき、怪我をした本人はすぐさま病院へ向かいます。命の危険にかかわらず、怪我を放置したら後遺症が残る可能性も大いにあります。
迅速に治療を行うため、病院へ移動もしくは搬送します。
怪我をして病院へ搬送、治療に必要な期間は休業をします。休業から3日目は待機期間となり、この間の賃金は発生しません。この3日間は、会社により有給の使用も可能となっているので、確認しておくといいかもしれません。
休業してから4日が経過して、療養のために休業した日数分に応じた平均賃金の6割が休業補償給付として、2割が特別支給金として支給されます。
怪我をして就労することができず、休業することになったら、労災保険の休業補償給付が利用できます。そのとき、怪我が原因となって障害が残ってしまった場合はどうなるのでしょうか。
こんなときは、障害補償給付を別途申請します。こちらの制度も労災の中で別途手続きが必要となりますので、該当する方は忘れずに申請しましょう。
給付の種類 |
請求書の様式 |
提出先 |
療養給付 |
療養補償給付たる療養の給付請求書(5号)療養給付たる療養の給付請求書(16号の3) | 病院薬局などを経て所轄労働基準監督署長 |
療養補償給付たる療養の費用請求書(7号)療養給付たる療養の費用請求書(16号の5) | 所轄労働基準監督署長 | |
休業給付 | 休業補償給付支給請求書(8号)休業給付支給請求書(16号の6) | |
障害給付 | 障害補償給付支給請求書(10号)障害給付支給請求書(16号の7) |
怪我の療養をして、上の表にあります書類をそれぞれ提出することにより、労災の手続きをしていきます。このほかにも、被災者が死亡した場合に受け取れる遺族給付などもありますので、労災の種類でどんな給付を申請できるのか確認してみましょう。
労災の申請者は本人(又はその相続人)です。会社が申請を行ってくれる場合もありますので、労災の手続きについてわからないことがあったら確認をしてみましょう。
悩まず、確認をとることで制度を存分に活用できます。労災の申請は会社を通じて行うこともできますし、自分で行うこともできます。会社がやってくれない、認めてくれないという場合はあきらめずに自分で申請処理を行いましょう。
必要な書類をすべて集め終わったら、労基署まで足を運んで労基署長へ労災の手続きをします。書類を郵便で送付することもできますが、事故や怪我について説明することができるので、労基署まで足を運ぶことをおすすめします。
労災の申請手続きをするにあたり、どこの病院へ行ったのかも重要なポイントです。労働災害に見舞われたとき、基本は指定の病院へ行ったほうがいいのですが、必ずしも行けるとは限りません。
怪我の度合いによっては、近くの病院へいくこともあるでしょう。そんな労災手続きをする上で知りたい、病院の選び方についてみていきます
上記で説明しましたが、労働災害に合われた場合は厚生労働省が指定した医療機関にて、治療を受けてもらいます。治療をしてもらうとき、診察費や治療費などは一切かかりません。
ただ、指定病院を知らない、調べているほど余裕がない怪我の場合には近くにある病院へ赴いても問題ありません。怪我によっては、取り返しのつかないことにもなりかねませんので、迅速に行動しましょう。
労災指定された病院以外で治療を受けるとき、治療費は労災である旨を伝えるといったん全額負担となります。その後、労災認定を受けた際に、負担した医療費は療養給付として支給されます。
労働災害により負傷したら、しかる手続きをすれば療養にかかる費用を制度で負担することができます。治療費に限らず、療養するために仕事を休職しなければならなくなったなど、様々な制度があります。
では労働災害に巻き込まれて、いざ利用できる制度は何なのでしょうか。
指定病院での治療が無償になることは、先ほどご説明しましたがそれはどうしてなのでしょうか。実はこれも、労災に受けられる制度の1つなのです。こちらを、療養補償給付といいます。
労災で受けた怪我をこちらの制度を申請することにより、療養費の負担がありません。そのため、指定病院であれば療養行為自体の給付を、指定病院以外では療養費用の給付をそれぞれ受けることができるのです。
労災を受け、しばらくの間仕事をすることができなくなってしまったとき、賃金が発生しません。そんな経済的な問題を解決してくれるのが、休業補償給付と呼ばれる制度です。この制度は、怪我が治るまで受給し続けることができるのがポイントです。
ただしそのためには支給条件を満たしていなければなりません。その条件とは、次のような点になります。
・労働者が業務中、もしくは通勤により疾病した
・疾病のために仕事をすることができない
・賃金を受け取っていない
・3日間の待機期間を満たしている
労災による怪我を療養していく中で、後遺症が残ってしまうケースもあります。怪我そのものが治っても日常生活にも影響を及ぼす障害が残った場合には、障害補償給付を申請することができます。
ただし、この制度は誰でも申請できるわけではありません。医師など専門家による診断が必須となります。申請の際には診断書、またはレントゲン写真などの資料を申請時に用意します。
こちらの給付を受けられる人の中には、社会復帰のために障碍者特別支給金や特別年金なども受給できることもあるので、併せて調べておくと便利です。
労働災害に見舞われた被害者が死亡したとき、手続きすることができる制度もあります。遺族補償給付と呼ばれるこちらの制度は、残された家族に対して年金もしくは一時金が支払われます。
利用する際は、被災者の死亡診断書が必須となります。給付の際、受給権利を持つ人間が複数人いるときは代表者に対して支払われます。
労災は手続きをすれば必ず認定されるわけではありません。職場で怪我をしても、それが一般でいうところの労災になるとは限らないからです。
ではどうすれば労災として認定されるのかというと、大前提に「業務によって生じた傷病」であることが認められるかどうかを判断する必要があります。では判断の基準はどんなポイントになるのでしょう。
労災として認定されるポイントには主に2つあります。
・傷病したとき仕事をしている状態だったか
・傷病の原因が業務に関係するものだったか
この2つが基準となりますので、満たしていないと判断された怪我については、労災として認定されません。
仕事中ではない、仕事へ向かうときに被災する通勤災害においても、認定されるには基準があります。それは、仕事への行き帰りで被災したかどうかです。
帰宅途中であっても含まれますが、もし通勤途中で仕事とは全く関係ない寄り道をしている最中で被災した場合には、基準を満たしていないことになります。
ただ、寄り道も通勤途中と認定されるケースもありますので、一概に寄り道をしたら認定されないわけではありません。
目に見える怪我のときは、ある程度の認定は容易といえるでしょう。しかし、例えばうつ病など精神的なメンタル面での労災になると、一転して認定が難しくなります。
精神障害による労災が認められるためには、次のような点を満たしていなければなりません。
・対象疾病を発病していること
・対象疾病の発病前からおよそ6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められる
・業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められない
労災として認定されるものでは、過労死があります。長時間労働の連続で、心身に強い負担が生じて亡くなられてしまう人などが、該当ケースになります。
主な認定要素としては、次の3つが代表的な基準となります。
・異常な出来事に遭遇している
・短期間の過重業務に見舞われている
・長時間の過重業務に見舞われている
労災を手続するとき、申請には時効が存在します。休業してから制度によりますが、労災給付を受ける権利は2年又は5年で時効消滅します。主に療養補償給付と休業補償給付などが2年、障害補償給付と遺族補償給付などが5年となっていますので、忘れずに申請しましょう。
労働の手続きにおいて知っておきたいことがあります。それは企業は労災により療養中の職員を解雇できないということです。
もし労災を受けて制度を利用しているときに解雇された場合は、法的手段を利用することができます。もちろん、労災で療養中の従業員から退職の申出をすることは可能です。
このとき、労災により休業して退職をした後に制度を利用することができるのか、という点も気になるところです。結論として、労災による制度の利用を受給しているなら引き続き受けることができます。
業務による災害により、仕事をすることができないと認定されていれば、退職をした後でも安心して給付を受け続けることができます。
しっかり怪我を治して、療養してから社会復帰をしたいと考えているなら、まずは労災の手続きをするところから始めてください。
退職をしても、雇用保険による失業給付を受けることができるのではないか、そう考えている人も多いでしょう。しかし、雇用保険による失業給付は労災を受けている人だと受給できない可能性が高くなります。
失業給付の支給条件に、被保険者期間が2年間在職している方で1年以上加入している方、またすぐにでも仕事をすることができる方でなくてはなりません。労災を受けた人で、怪我が治っていない場合だとこの条件を満たしていないことになります。
失業給付が受けられるだろうと労災の手続きをしないで退職をしてしまうと、受けられるべき制度を利用することができません。失業給付も、すぐ働ける状態でなければ支給対象とはなりません。
労災によって怪我をした場合には、必ず労災保険の手続きをして受給するようになってから、退職という選択肢を考えてみてはどうでしょうか。
労働災害かどうかは行政機関が審査・判断しますので、必ずしも労災認定を受けられるわけではありません。
労災認定を受けるか否かでその後の保障内容が大きく変わりますので、弁護士に相談したほうが良いでしょう。
企業は労働災害により労働者が死亡又は休業した場合には、労基署に対して遅滞なく労働者死傷病報告を行う必要がありますが、これを適切に履践しない行為を「労災隠し」といいます。
労災の手続きをするときは、一定の手続きをしなければなりません。これまで労災に見舞われたことがない現場によっては、労災時のマニュアルすら用意されていないこともあります。
労災が起きても、提出しなければならない書類などを用意する手間ができてしまうから面倒という企業もあるかもしれません。しかし、これは違法行為です。
労災が起こることで、企業のブランドイメージが低下するのではないか、そう危惧している可能性もあります。印象が悪くなると現場にも影響を及ぼす、などと考える企業もいるかもしれません。
しかし、重大事故が起きたのに然るべき対応をしないことの方がイメージが悪くなりますので、そのような対応はおよそ不合理でしょう。
そもそも、労災保険に加入していない可能性もあります。なお、企業側で労災未加入であっても、労働者は労働災害補償を受けることができます。
企業の負担する労災保険料は、労災事故の発生比率に応じて計算されています。労災事故が増えると、その分保険料も上がりますので、そのような費用増大を回避するという趣旨で、報告をしないということはあるようです。
上記の通り、労災認定を受ける上では弁護士のサポートは重要です。例えば、以下のような事項についてサポートを受けることができると思われます。
・後遺症がみられる場合、認定された後遺障害等級が正しいか
・後遺障害の上位等級を狙える時、審査請求や訴訟を任せられる
・労災事故による使用者側に対する損害賠償請求や示談交渉で、卓越した交渉が期待できる
・訴訟の場合、専門知識で損害賠償金が期待できる
・泣き寝入りすることなく、専門家に法的手続きのすべてが任せられる
労災隠しによる労働問題を弁護士に依頼するとき、弁護士費用も気になるところです。弁護士費用は弁護士ごとに異なるので一概に言えませんが、相談料・着手金・報酬金の3つを負担することになります。
実際の金額として、相談料は30分でおよそ5,000円程度になりますが、初回相談料無料の事務所も少なくありません。着手金は、経済的利益からおよそ8%の額を、依頼するときに支払います。
報酬金は経済的利益により、問題解決後に16%ほど支払うことが多いようです。金額は状況や内容により大きく異なるので、一度担当の弁護士さんに確認してみてください。
労災隠しがあったら、まずは企業との交渉から始まります。これを労働審判といいますが、ここで解決することもできます。ただ企業との話し合いに折り合いがつかないときは、訴訟を起こすことにより責任の所在と損害賠償などを請求します。
裁判まで発展すると、時間と手間がかかってしまいますので企業としても、労働者としても疲弊してしまいます。
労災の手続きは煩雑のようで、しっかり手順を踏んでいればスムーズに給付を受けることができます。自己負担しなければならないときも少なからずありますが、認定されれば怪我が治るまでの間は経済的な問題で悩まされることはありません。
怪我をして労災を受けることができない方は、弁護士や労基署へ一度相談をしてみてください。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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