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KL2020・OD・037
協議離婚とは、話し合い、合意の上で離婚を成立させる方法になります。協議離婚で決めるべき項目の中に「養育費」というものがあります。
養育費とは、子どもを育てるのに必要な衣食住の費・医療費・交通費・文化費などをいい、親権がないからと言って、子どもに対する親としての責任がなくなるわけではありません。
「養育費は義務じゃない!」と主張する人もいるかもしれませんが、民法第877条で「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」と定められており、親子は直系血族になるので扶養の義務があるのです。
ここでは、協議離婚の際に養育費を決める方法や相場、養育費を請求する・支払う根拠や義務が法律でどのように定められているのか、支払い期間、しっかり払ってもらうための方法を紹介します。
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目次
では教育費は一体どのように算出するのでしょうか。協議離婚では、自分たちで金額を決定しなくてはいけません。ここでは具体的に教育費を算出する4つの方法と相場を紹介します。
夫・妻の実際の収入・生活費を計算しお互いの兼ね合いで分担額を決める方法です。話し合いで決めるため、互いに納得したり、基準に左右されたりせず自分の生活に合わせた金額を提示できます。
ただし、今後子どもにいくらかかるのか、今までどのくらいの金額で生活していたのかをしっかり調査しておかなければ、基準がない分養育費が少なくなり生活に困ってしまう可能性もあります。
厚生労働大臣が定めている生活保護基準を参考に教育費を決める方法です。この基準は生活水準の変化や物価の変動により変わり、年齢・性別・地域・世帯構成によって具体的に基準が定められるという利点がありますが、最低基準になるため、普通に暮らしていた場合は生活が苦しいと思ってしまう可能性もあります。
労働科学研究所が厚生労働省の委託を受け、1952年に行った実態調査を行い最低限度の生活費を算定する方法として生み出した、総合消費単位を参考にして養育費を算出する方法です。
消費単位が的確なのですが、実態調査を行ったのが60年以上も前になるので、現在の物価やその他の金額の単位が大きく変化しているので注意が必要になります。
平成15年に東京と大阪の裁判所が作成した「養育費・婚姻費用の算定方式と算定表」というものを参考にする方法があります。下の表をご覧ください。
(引用元:養育費・婚姻費用の算定方式と算定表)
この表は、夫と妻の税込年収と子供の年齢と子供の人数により、相当な教育費・婚姻費用を割り出すことができます。裁判所で適用され、計算の必要がないのが特徴です。
またこの表はあくまで基準なので、この基準を参考に生活に合わせた養育費の支払いが必要になり、しっかり話し合い決めなくてはいけません。
上の図は、裁判所が統計を取り公表している子供が1人の場合の養育費相場を割合にして表したものです。1番多いのが4万円以下で2番目に多いのが6万円以下になっています。また、少ないですが10万円以上の家庭もあるようです。
各家庭により養育費は異なっていますが、4万~6万円以下が平均になります。
協議離婚を行うと「養育費を支払わない」「義務じゃないだろ」という人は少なからずいます。ここでは養育費を請求できるのはなぜか、本当に義務はあるのか、という疑問を解消していこうと思います。
協議離婚の際に、養育費を支払いたくないという人に支払わせるための参考してみてください。
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
引用元:民法第766条
これを要約すると、子どもを育てるための費用は親同士で分担し、子どもの利益を最優先することを定めています。そのため、協議で決め、親同士で負担する義務があるのです。
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
扶養を受ける権利は、処分することができない。
引用元:民法第877条~第881条
親子は直系血族に該当するため、扶養の義務に当てはまります。また、「扶養を受ける権利は、処分することができない。」とあるため、離婚で扶養の義務がなくせるわけではありません。
このような法律から、離婚したからと子供の扶養義務があり、親権を持っている親は養育費を請求する根拠になります。
「未成熟子」とは、成人・未成人に関わらず、経済的にまだ独立していない子をさします。未成熟子扶養義務とは、未成熟子に対し自らの生活と同程度の生活を保持する義務で、民法に明文されていませんが、生活保持義務(民法第730条)と解釈されています。
親が豊かな生活をしているのに対し、子どもだけ貧しい生活をさせてはいけないというものです。
協議離婚で決めた養育費はいつまで受け取ることが可能なのでしょうか。また、養育費を受け取っている途中に様々な要因で生活に困窮してしまった場合に増額することができたらいいですよね。ここではその2つの項目について紹介します。
家庭裁判所では成人までと考えられています。しかし、法的には未成熟子までは扶養する義務があるので、親権を持つ親の経済力やこどもの進学希望によっては、大学を卒業まで、18歳になるまで等とする場合があるのです。
養育費を決める際に子供の進路を考慮し、大学に言った場合は大学卒業まで、大学に行かなかった場合は20歳までなどとあらかじめ決めて話し合っておくことをおすすめします。
1度決めた養育費も病気やケガで多額の治療費が必要になった、進学や勉強する上で多額の費用が必要になった場合に増額できる可能性があります。
逆に、親権を持つ親が再婚した場合には養育費が減額する可能性があります。このような増減は自動ではないので、その都度話し合う必要があるのです。
話し合ってもまとまらない場合、裁判所に調停又は審判を申し立てる必要があります。また、協議離婚の際にこのような場合を想定してあらかじめ、増額が可能かどうかを決めることをおすすめです。
養育費をしっかり払ってもらうことは、子どもにとってとても大事なことです。協議離婚の場合お互いの話し合いで決まるため、養育費をしっかり払ってもらうには証拠として、離婚協議書を作成する必要があります。どのように作成していくか紹介します。
離婚協議書とは、協議離婚を行い決まった離婚条件を文書にすることです。途中で養育費の支払いが止まってしまった場合、離婚協議書があればそれを証拠として裁判を行うことが可能です。離婚協議書を作成していない場合、そんな約束していないと争いになることが考えられます。
また、離婚協議書を公正証書にすることで裁判を行なわなくても強制執行を行うことができます。公正証書は公証人という決められた公務員が作成するので、まずは「公証役場一覧」からお近くの公証役場をお探し下さい。公証役場では公正証書作成の相談を無料で受け付けています。
離婚の際に決めた約束を離婚協議書にし、その内容を公証人に話す又は、閲覧してもらいそれを公正証書にします。公証人が話を聞く時間と証書を作成した時間の合計1時間ごとに1万1,000円です。
休日、午後7時以降に行われた場合、手数料の10分の5が加算されます。
いかがでしょうか。離婚を理由に子供が貧しい思いをしないように、親権を持った親はしっかりと養育費を請求することが必要です。また、いくら義務があると言っても聞かない人もいると思います。
そのような相手と話し合っても話しがまとまる見込みがないので、早々に裁判所を利用しましょう。裁判所を利用する際に弁護士に相談をすることで、有利に話がまとまることが期待できるのでおすすめします。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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