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KL2020・OD・037
逸失利益(いっしつりえき)とは、交通事故の被害によって減少した将来の収入をいいます。例えば、事故で右手が動かなくなれば労働能力が低下して収入が少なくなってしまうことが考えられますが、事故被害者にはその減った将来分の収入を逸失利益として請求する権利が認められています。
また、上記のように後遺症が残った状況だけではなく被害者が亡くなった場合にも、働き続けていたら将来的に得られるはずだった収入に対する請求も可能です。
この記事では数ある交通事故の損害賠償の1つである逸失利益についてご紹介しますので、逸失利益の基礎知識を確認しておきたい場合はぜひ参考にしてみてください。
目次
逸失利益と言うと後遺症を負った際に請求できるイメージが強いですが、広義な意味で捉えると『休業損害』『後遺障害逸失利益』『死亡逸失利益』の3種類があります。
休業損害とは、交通事故の負傷によって労働を休業した時に減少した収入に対して請求する損害賠償です。正社員・アルバイトなど、雇用形態に関わらず労働して収入を得ていた者なら基本的に休業損害の請求は認められるでしょう。
それと、以下の2つの逸失利益も同様ですが、専業主婦は家事労働に就いていると扱われるので無収入でも損害賠償の請求が認められます。
詳細記事:交通事故で休業損害が請求できる条件|損害賠償を計算する基礎知識
ただ、休業損害は将来の収入に対する保障ではなく負傷をして休業している間を保障するものなので、広義では逸失利益として扱われていても、以下の2つとは別物と認識した方が分かりやすいかもしれません。(※当記事では以下の2つを主に取り上げます)
後遺障害逸失利益とは、交通事故によって後遺症を負った時に請求できる損害賠償です。記事冒頭の例の通り、後遺症によって労働能力が低下して将来に得られるはずだった収入が減ったと判断される際に請求が認められます。
ただ、後遺障害逸失利益を請求するには後遺障害認定を受けなければいけません。後遺障害申請でどの等級が認定されるかによって損害賠償の金額は大きく変わってくるので、後遺障害の可能性がある場合は正当な等級の獲得方法も必ず確認しておきましょう。
関連記事:後遺障害とは|正当な等級の獲得方法と慰謝料の相場額・算出方法
死亡逸失利益とは、交通事故によって被害者が亡くなった時に請求できる損害賠償です。被害者の遺族(相続人)には、被害者が生きていたら得られていたはずの収入に対する損失を請求できる権利が認められます。
基本的に交通事故の損害賠償請求では67歳を就労可能年数の上限として扱っているため、例えば30歳に亡くなった場合は『67-30』で37年分の逸失利益を請求できるでしょう。(※後遺障害逸失利益も同様)
上記でも紹介した通り、後遺障害逸失利益を請求するには後遺障害認定を受けている必要があります。後遺障害認定とは、後遺症の度合いと事実を客観的に証明できるようにするための手続です。
担当医から後遺障害診断書を作成してもらい、それを自賠責保険会社に提出すると後遺症認定の審査が受けられます。
関連記事:後遺障害診断書の書き方|等級認定が受けやすくなる3つのポイント
事故当時に労働をして収入を得ている状況なら無関係な条件ですが、事故当時に働いていておらず無収入の場合だと、労働能力・労働意欲・労働で収入を得る蓋然性(可能性)が逸失利益の請求が認められるかの判断基準になります。
基本的に健康体の未成年や20代の若者であれば、事故当時は無収入でも将来的には就職をする可能性は高いと判断されるので、働いていなくても逸失利益が請求できる可能性は高いと言えるでしょう。
ただ、事故前から病気で仕事ができない状況(労働能力)や何年もニートを続けて働く意思が感じられない状況(労働意欲)、また高齢で次の就職先を見つけるのは困難な状況(蓋然性)だと判断されると、逸失利益の請求は難しくなるのでご注意ください。
関連記事:無職でも逸失利益が認められる基準|計算方法と被害者の状況例まとめ
逸失利益は将来的に得られるはずだった収入です。そのため、後遺症を負っても収入が減少しなかった場合には逸失利益の請求が認められないケースもありますので、注意しましょう。但し、減収がないことが本人の努力によるものである場合には、逸失利益の減額はされませんので、この判断はケース・バイ・ケースであるといえるでしょう。
損害賠償制度は、被害者に生じた現実の損害を填補することを目的とするものであるから、労働能力の喪失・減退にもかかわらず損害が発生しなかつた場合には、それを理由とする賠償請求ができないことはいうまでもない。
「逸失利益は収入に対する保障だから課税対象なのでは?」と思われるかもしれませんが、逸失利益に対する補償は非課税です。逸失利益だけでなく交通事故の損害賠償には基本的に税金はかかりません。
第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。
十七 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含むし)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの引用元:所得税法
加害者の保険会社から受け取る損害賠償は基本的に非課税ですが、自分が加入している人身傷害保険の保険金は、加害者だけでなく被害者にも過失割合があると一部だけ課税対象になります。
例えば、『被害者2:加害者8』の過失割合で5,000万円の保険金を受け取る場合だと、5,000万円の2割である1,000万円が課税対象です。このように人身傷害保険の保険金は自分の過失分だけ課税対象となる可能性があります。
<後遺障害逸失利益の算出方法>
『後遺障害逸失利益』=『1年あたりの基礎収入』×『労働能力喪失率』×『ライプニッツ係数』
<死亡逸失利益の算出方法>
『死亡逸失利益』=『1年あたりの基礎収入』×『生活控除率』×『ライプニッツ係数』
逸失利益は上記の式を基に算出されます。それぞれの科目の詳細を紹介してしまうと解説がとても長くなってしまうため、詳細を確認したい場合は以下の記事をご参考に頂ければ幸いです。
関連記事:逸失利益の計算方法|正当な損害賠償を請求するための基礎知識
ここではいくつかの例を挙げて逸失利益を計算した表をご紹介します。あくまで目安ですが、逸失利益がいくらくらいになるのかイメージとしてお役立て頂ければ幸いです。
(※無収入者の年収はH28賃金センサス性別ごとの平均年収を適用、1万円以下の単位は切り捨てで記載)
【後遺障害逸失利益の相場】
被害者:障害等級 |
年収 |
逸失利益 |
30歳の会社員:4等級 |
500万円 |
7,687万円 |
50歳の会社員:6等級 |
700万円 |
5,287万円 |
40歳の専業主婦:8等級 |
376万円 |
2,477万円 |
10歳の男児:10等級 |
549万円 |
2,780万円 |
【死亡逸失利益の相場】
被害者:家族構成 |
年収 |
逸失利益 |
30歳の会社員:1人暮らし |
500万円 |
4,177万円 |
50歳の会社員:妻子4人暮らし |
700万円 |
5,524万円 |
40歳の専業主婦:夫と2人暮らし |
376万円 |
3,854万円 |
10歳の男児:両親と3人暮らし |
549万円 |
5,149万円 |
逸失利益は『後遺障害の等級』と『1年あたりの基礎収入』をどのように設定するかによって請求できる金額が大きく変わってきます。
そのため、被害者が後遺障害認定をしたり無職で収入がなかったりする状況であれば、弁護士に損害賠償請求を依頼して適正な金額を設定してもらうと良いでしょう。
保険会社は支出を減らすため損害賠償を安く見積もることもありますので、上記2つの基準があいまいな状況だと値切られてしまうケースは珍しくありません。だから、もし保険会社の提示する金額に納得できないようなら弁護士依頼を検討することをおすすめします。
弁護士依頼にはもちろん費用が発生しますが、交通事故被害においては費用を差し引いてもプラスになることが多いです。正当な損害賠償を請求できて慰謝料も増額し事故対応の手続きを弁護士に一任できるなど沢山メリットがあります。
弁護士に依頼する際は以下のポイントもチェックしましょう。
弁護士の詳しい選び方については「交通事故の問題解決を有利に進めるための弁護士の選び方まとめ」をご覧ください。
逸失利益は交通事故の損害賠償の中でも特に高額なので、不明点や納得いかない内容がある場合は無理に請求手続きを進めず、情報収集をした後で慎重に対応していく必要があります。
損害賠償請求は示談が成立した後から内容の変更はできません。もし自分で手続きを進めるのが不安な場合は一度専門家のアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。
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