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KL2020・OD・037
通院慰謝料とは、交通事故で受傷した際に治療を行ったことに対する精神的苦痛を金銭で補償することをいいます。
もしあなたが交通事故の被害者になってしまった場合、通院慰謝料額の交渉を加害者の保険会社と行わなければなりません。精神的な苦痛は、人により受け取り方が様々なため実際いくらの額を慰謝料として請求すべきか迷われる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は通院慰謝料の相場と、通院慰謝料を増額させる手法について記載したいと思います。
目次
通院慰謝料は、事故の被害者が請求できる損害賠償のうちの一つです。損害賠償として請求できる項目は、
になります。慰謝料は更に項目が分かれ、
があります。
入通院慰謝料は精神的な苦痛に対する保障なので明確に金額で表すことが困難になります。そのため慰謝料に関しては「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準があります。
入通院慰謝料の3つの基準に関して共通して言えることは、慰謝料額は入通院期間によって決まるということです。具体的には入通院期間が長くなればなるほど慰謝料額は多くなります。
ここではそれぞれの基準における入通院慰謝料の算定の方法と相場をみていきましょう。
自賠責保険は、車やバイクを運転する人は強制的に加入する保険です。自賠責保険の目的は「対人」つまり事故の被害者に対して最低の補償を行うことです。また自賠責保険の場合、通院だけでなく入院に関しても同時に慰謝料額を計算します。自賠責保険基準における入通院慰謝料の算定方法は以下の通りです。
A:入院期間+通院期間の合計
B:実入通院日数(入院期間+通院期間の中で実際に病院に通った日数)×2
自賠責保険基準の入通院慰謝料=4,200円×AもしくはBの少ない方の数字
例えば4月1日に事故に遭い、4月30日までを通院期間として、実際に病院に通った日数が12日であった場合入院期間0日、通院期間が30となるので
A=入院期間+通院期間=0+30=30
B=(実入院数+実通院日数)=(0+12)×2=24
A>Bから
自賠責保険基準の入通院慰謝料=4,200円×24=100,800円
となり、自賠責保険基準での通院慰謝料額は100,800円となることが分かります。
任意保険は、事故の加害者が、自賠責保険のみでは負担できない補償をカバーするために任意に加入する保険のことを言います。任意保険基準とは事故の加害者が加入する保険会社が独自に決めている通院慰謝料の相場です。任意保険基準の通院慰謝料相場は公開されていないため、明確な数字は分かりかねますが、一般的には自賠責保険基準よりは高いと言われています。
ここでは推定になりますが、任意保険基準の通院慰謝料表を入院慰謝料と併せて記載しておきます。
表:任意保険基準の推定入通院慰謝料(単位:万円)
入院 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | 6ヶ月 | 7ヶ月 | 8ヶ月 | 9ヶ月 | 10ヶ月 | |
通院 | 25.2 | 50.4 | 75.6 | 95.8 | 113.4 | 113.4 | 128.6 | 141.2 | 152.4 | 162.6 | 170.2 |
1ヶ月 | 12.6 | 37.8 | 63.0 | 85.6 | 104.7 | 120.9 | 134.9 | 147.4 | 157.6 | 167.6 | 173.9 |
2ヶ月 | 25.2 | 50.4 | 73.0 | 94.6 | 112.2 | 127.2 | 141.2 | 152.5 | 162.6 | 171.4 | 176.4 |
3ヶ月 | 37.8 | 60.4 | 82.0 | 102.0 | 118.5 | 133.5 | 146.3 | 157.6 | 166.4 | 173.9 | 178.9 |
4か月 | 47.8 | 69.4 | 89.4 | 108.4 | 124.8 | 138.6 | 151.3 | 161.3 | 168.9 | 176.4 | 181.4 |
5ヶ月 | 56.8 | 76.8 | 95.8 | 114.6 | 129.9 | 143.6 | 155.1 | 163.8 | 171.4 | 178.9 | 183.9 |
6ヶ月 | 64.2 | 83.2 | 102.0 | 119.8 | 134.9 | 147.4 | 157.6 | 166.3 | 173.9 | 181.4 | 185.4 |
7ヶ月 | 70.6 | 89.4 | 107.2 | 124.3 | 136.7 | 149.9 | 160.1 | 168.8 | 176.4 | 183.9 | 188.9 |
8ヶ月 | 76.8 | 94.6 | 112.2 | 128.6 | 141.2 | 152.4 | 162.6 | 171.3 | 178.9 | 186.4 | 191.4 |
9ヶ月 | 82.0 | 99.6 | 116.0 | 131.1 | 143.7 | 154.9 | 165.1 | 173.8 | 181.4 | 188.9 | 193.9 |
10ヶ月 | 87.0 | 103.4 | 118.5 | 133.6 | 146.2 | 157.4 | 167.6 | 176.3 | 183.9 | 191.4 | 196.4 |
例えば通院のみ、通院期間が5カ月の場合は表の緑色のところの数字になり、入通院慰謝料額は56.8万円となります。もし入院3ヵ月、通院2ヶ月の場合は表の橙色のところの数字になり、入通院慰謝料は94.6万円となります。
弁護士基準は裁判所基準とも呼ばれ、過去の裁判所での判例をもとに交通事故処理委員会が公表しているもので、「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(通称「赤本」)等で確認することができます。また弁護士基準での通院慰謝料額は3つの基準の中で最も高くなっています。
弁護士基準の入通院慰謝料も通院期間によって慰謝料額が決まっており、入通院期間が長くなるほど入通院慰謝料額は多くなります。
ただし、事故の傷害がむち打ち症だった場合、精神的な要因が原因で通院が長引く場合もあるため、他の傷害の慰謝料相場よりの低くなっています。
弁護士基準での通院慰謝料は以下の通りです。
表:弁護士基準による入通院慰謝料の表(単位:万円)
入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 13月 | 14月 | 15月 | |
通院 | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 | 266 | 284 | 297 | 306 | 314 | 321 | 328 | 334 | 340 | |
1月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 | 252 | 274 | 191 | 303 | 311 | 318 | 325 | 332 | 336 | 342 |
2月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 | 260 | 281 | 297 | 308 | 315 | 322 | 329 | 334 | 338 | 344 |
3月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 | 287 | 302 | 312 | 319 | 326 | 331 | 336 | 340 | 346 |
4月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 | 292 | 306 | 316 | 323 | 328 | 333 | 338 | 342 | 348 |
5月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 | 278 | 296 | 310 | 320 | 325 | 330 | 335 | 340 | 344 | 350 |
6月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 | 300 | 314 | 322 | 327 | 332 | 337 | 342 | 346 | |
7月 | 124 | 157 | 188 | 217 | 244 | 266 | 286 | 304 | 316 | 324 | 329 | 334 | 339 | 344 | ||
8月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 252 | 274 | 292 | 308 | 320 | 328 | 333 | 338 | |||
9月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 274 | 292 | 308 | 320 | 328 | 333 | 338 | ||||
10月 | 145 | 175 | 203 | 230 | 256 | 276 | 294 | 310 | 322 | 330 | 335 | |||||
11月 | 150 | 179 | 207 | 234 | 258 | 278 | 296 | 312 | 324 | 332 | ||||||
12月 | 154 | 183 | 211 | 236 | 260 | 280 | 298 | 314 | 326 | |||||||
13月 | 158 | 187 | 213 | 232 | 262 | 282 | 300 | 316 | ||||||||
14月 | 162 | 189 | 215 | 240 | 264 | 284 | 302 | |||||||||
15月 | 164 | 191 | 217 | 242 | 266 | 288 |
表:むち打ち症で他覚症状がない場合に適用される入通院慰謝料表(単位:万円)
入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 13月 | 14月 | 15月 | |
通院 | 35 | 66 | 92 | 116 | 135 | 152 | 165 | 176 | 186 | 195 | 204 | 211 | 218 | 223 | 228 | |
1月 | 19 | 52 | 83 | 106 | 128 | 145 | 160 | 171 | 182 | 190 | 199 | 206 | 212 | 219 | 224 | 229 |
2月 | 36 | 69 | 97 | 118 | 138 | 153 | 166 | 177 | 186 | 194 | 201 | 207 | 213 | 220 | 225 | 230 |
3月 | 53 | 83 | 109 | 128 | 146 | 159 | 172 | 181 | 190 | 196 | 202 | 208 | 214 | 221 | 226 | 231 |
4月 | 67 | 95 | 119 | 136 | 152 | 165 | 176 | 185 | 192 | 197 | 203 | 209 | 215 | 222 | 227 | 232 |
5月 | 79 | 105 | 127 | 142 | 158 | 169 | 180 | 187 | 193 | 198 | 204 | 210 | 216 | 223 | 228 | 233 |
6月 | 89 | 113 | 133 | 148 | 162 | 173 | 182 | 188 | 194 | 199 | 205 | 211 | 217 | 224 | 229 | |
7月 | 97 | 119 | 139 | 152 | 166 | 175 | 183 | 189 | 195 | 200 | 206 | 212 | 218 | 225 | ||
8月 | 103 | 125 | 143 | 156 | 168 | 176 | 184 | 190 | 196 | 201 | 207 | 213 | 219 | |||
9月 | 109 | 129 | 147 | 158 | 169 | 177 | 185 | 191 | 197 | 202 | 208 | 214 | ||||
10月 | 113 | 133 | 149 | 159 | 170 | 178 | 186 | 192 | 198 | 203 | 209 | |||||
11月 | 117 | 135 | 150 | 160 | 171 | 179 | 187 | 193 | 199 | 204 | ||||||
12月 | 119 | 136 | 151 | 161 | 172 | 180 | 188 | 194 | 200 | |||||||
13月 | 120 | 137 | 152 | 162 | 173 | 181 | 189 | 195 | ||||||||
14月 | 121 | 138 | 153 | 163 | 174 | 182 | 190 | |||||||||
15月 | 122 | 139 | 154 | 164 | 175 | 183 |
例えば、通院のみ、通院期間が5カ月の場合(むち打ち症でない場合)は表の緑色のところの数字になり、入通院慰謝料額は105万円となります。もし入院3ヵ月、通院2ヶ月の場合(むち打ち症でない場合)は表の橙色のところの数字になり、入通院慰謝料は177万円となります。
入通院慰謝料は入通院期間に依存して増額することはお伝えしてきましたが、弁護士基準においては実際の通院の頻度や、ケガの状態により入通院慰謝料額は増減します。
ここでは弁護士基準の入通院慰謝料額が増減するケースについて記載します。
原則、入通院慰謝料は入通院期間をもとに決まりますが、通院期間内の通院頻度が低い場合等は、実通院数の3倍程度を通院期間として通院慰謝料額を求める場合もあります。
実際に減額される状況は以下の通りです。
・通院が長期に渡って不規則である場合
・1年以上にわたって、一カ月あたりの通院日数が2~3回程度である場合
・通院の目的が受傷の治癒ではなく、検査や経過観察が目的である場合
ケガが特に重い場合、そして被害者の状態がとくに重篤である場合、通院慰謝料が2割ほど加算される場合があります。2割加算されるには、ケガの重さと被害者の状態の重篤さの両方の条件を満たさなければなりません。2割加算されるケガの内容と被害者の状態は以下の通りです。
ケガの内容 | 被害者の状態 |
脳・脊髄の損傷 | 安静を必要とする期間が比較的長く継続した場合 |
多数の箇所にわたる骨折 | 症状の治癒が遅く重度の後遺障害が残る場合 |
内臓破裂を伴う傷害 | 長期にわたって苦痛の大きい状態が継続する場合 |
その他上記に準じる重症の場合 | その他上記に準じる苦痛がある場合 |
多くの方が交通事故の際の損害賠償と慰謝料の違いが明確ではないのではないでしょうか。交通事故の際の被害者になった場合に、加害者に請求できる損害賠償は入通院慰謝料だけではありません。
交通事故の際の損害賠償額は、以下の通りとなります。
損害賠償=積極損害+消極損害+慰謝料
つまり慰謝料とは交通事故の損害補償の一部だということができます。ここでは、慰謝料の他に交通事故の際に加害者に請求できる損害賠償の各内容について記載したいと思います。
積極損害は、交通事故の受傷を治療するのにかかった費用の補償をいいます。具体的には治療費、入院費などです。以下の表に記載しておきます。
積極損害の項目 |
内容 |
治療費・入院費 | 必要かつ相当な範囲で実費全額。健康保険の利用も可。 |
付添看護費 | ○職業付添人の場合…実費全額 ○近親者付添人の場合 ・入院付添…5,500円~7,000円/1日・通院付添…3,000円~4,000円/1日 |
将来の介護費(後遺障害の場合) | ○職業付添人の場合…実費全額○近親者付添人の場合…8,000円~9,000円/1日 |
入院雑費 | 1,400円~1,600円/1日 |
交通費 | 本人の通院に関して全額実費。 |
家、車の改造費 | 後遺障害が残った場合で、家の出入口、風呂場、トイレ、等の改造費の実費 |
装具 | 義足、車いす、補聴器、義眼、等 |
子供の学習費 | 受傷による学習の遅れを取り戻すための費用 |
弁護士費用 | 訴訟になった場合で、裁判所の容認額の1割程度 |
その他の費用 | 旅行のキャンセル料、必要な場合の引っ越し料など |
消極損害は、被害者が交通事故の影響により働けなくなった場合の収入源をいいます。消極損害には休業損害と逸失利益の2種類があります。
休業損害は受傷の治療のために働けなくなった期間の収入源の補償のことをいいます。逸失利益は死亡した場合の将来にわたる収入の補償、もしくは後遺障害になってしまった場合の労働能力減少による収入減の補償を言います。
慰謝料は交通事故による精神的な苦痛への金銭での補償を言います。慰謝料には入通院慰謝料以外にも、後遺障害を負ってしまった場合の後遺障害慰謝料、被害者が亡くなってしまった場合の死亡慰謝料があります。
通院慰謝料には「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準がありましたが、その他の慰謝料にも、この3つの基準はあり、全ての慰謝料において「弁護士基準」が最も高い慰謝料額の相場となっています。
入通院慰謝料を増額させる方法は、弁護士基準での入通院慰謝料を獲得するために、弁護士に依頼をすることです。交通事故は90%以上が示談で解決しますが、被害者の示談の交渉相手は加害者の保険会社となります。
被害者自身で保険会社と示談交渉をすることもできますが、その場合ただ根拠もなく弁護士基準での入通院慰謝料を主張したとしても保険会社は容認してくれない可能性が高いです。
また弁護士に依頼をすると、入通院慰謝料増額のメリットだけでなく、保険会社との示談交渉を行ったり、示談交渉に必要な資料収集の代行を行ってくれます。そのため示談交渉にかかる手間や精神的な負担も軽減します。
入通院慰謝料だけでなく、事故の損害賠償は事故被害者のその後の生活の安全、安心のために必要な金銭です。
できるだけ高い慰謝料を望むのは当然のことと言えます。
弁護士基準で入通院慰謝料を獲得するために、弁護士への示談交渉の依頼を強くおすすめします。
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