決して安くない弁護士費用。いざという時に備えてベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。
離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。
【ベンナビ弁護士保険が選ばれる3のポイント】
- 保険料は1日あたり約96円
- 通算支払限度額1,000万円
- 追加保険料0円で家族も補償
保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。
KL2020・OD・037
後遺障害等級は全部で14段階ありますが、後遺障害等級第8級は後遺障害等級の中では8番目に重い症状とされています。中間の等級ではありますが日常的な生活に戻ることが難しく、それまでの仕事も続けられないような重い後遺障害だとされています。
後遺障害慰謝料や損賠賠償を受け取るためには後遺障害等級の認定を受ける必要があります。そこで今回は、後遺障害等級第8級の認定方法と後遺障害慰謝料の相場について解説していきます。慰謝料額を増やすためのポイントも取り上げますので、是非参考にしていただければと思います。
目次
交通事故が原因で後遺障害が残ると、日常的な生活が送れなくなる可能性があります。特に仕事において可能な労務が限られる場合があり、後遺障害等級第8級の労働能力喪失率は45%とされています。半分近くの労働能力が失われていることになりますので、それまでに携わっていた業務への復帰は難しいとされています。
下記の表が後遺障害等級第8級で認定される症状の一覧です。10種類に分類されます。
後遺障害等級 | 後遺障害 概要 | |
第8級 |
1号 | 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの |
2号 | 脊柱に運動障害を残すもの | |
3号 | 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの | |
4号 | 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの | |
5号 | 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの | |
6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの | |
7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの | |
8号 | 1上肢に偽関節を残すもの | |
9号 | 1下肢に偽関節を残すもの | |
10号 | 1足の足指の全部を失ったもの |
続きまして、全部で10種類ある症状の詳細を個別に取り上げていきます。全て単独での認定条件になりますので、1種類でも該当すれば後遺障害等級第8級であると認定されます。
交通事故によって片目が失明するか、片目の矯正視力が0.02以下になってしまった状態です。なお、矯正視力ということが条件になりますので、眼鏡やコンタクトレンズを着用して視力が0.02より上になれば認定されません。
もう片方の目には障害が無いため、目の失明に関連する後遺障害の中では最も下の等級にされています。片目が見えている状態なため、生活に著しい支障は出ないとみなされているからです。
首や背骨といった脊椎が損傷してしまった場合に認定される後遺障害です。脊椎に損傷を負った場合、もっとも重いものですと第6級5号になりますが、それよりは少し症状が第8級2号になります。
片手の親指を含む2本の指がなくなった状態か、親指以外の3本の指がなくなった状態です。親指なら第1関節より先、それ以外の指であれば第2関節より先の欠損であれば失ったとみなされます。なお、欠損した指の本数が増えれば上位の後遺障害に該当して、親指含む3本か親指以外の4本を失うと第7級 6号で認定されます。
片手の親指を含む3本の指か、親指以外の4本の指の機能を失った状態です。麻痺による運動障害で指を動かせなくなった場合です。具体的な認定基準は下記の通りになります。
交通事故が原因で片足が5センチメートル以上短くなった状態です。歩くのに支障が出ますので、後遺障害等級第8級5号で認定されます。
片腕の3関節(肩、肘、手首)のうち、1関節の機能を失った場合です。全く動かなくなる、あるいは神経障害が原因で自分の意思で動かすことが不可能になった場合に機能を失ったとみなされます。また、片腕2関節の機能を失った場合は等級が上がり、第6級 6号に該当します。
片脚の3関節(股関節、膝、足首)のうち、1関節の機能を失った場合です。第8級6号と同様に全く動かなくなる、あるいは神経障害が原因で自分の意思で動かすことが不可能になった場合に機能を失ったとみなされます。また、片脚2関節の機能を失った場合は等級が上がり、第6級7号に該当します。
片腕に偽関節が残った状態です。偽関節とは、骨折を治療しても骨が正常にくっつかず、関節みたく不安定に動いてしまう部位のことです。保護具を装着して日常的な動作に支障が出なければ第8級8号で認められますが、保護具を装着しても著しい運動障害が生じてしまうと第7級9号(偽関節が残った片腕の運動障害)で認定されます。
片脚に偽関節が残った状態です。第8級8号の場合と同じく、損傷した骨が完全に治癒されず不安定に動いてしまう部位を偽関節といいます。保護具を装着して日常的な動作に支障が出なければ第8級9号で認められますが、保護具を装着しても著しい運動障害が生じてしまうと第7級10号(偽関節が残った片腕の運動障害)で認定されます。第8級8号と9号は、腕か脚かだけの違いです。
片足の指全てを失った状態です。この全てとは、中足指節関節(足の付け根)以上を欠損したという意味合いですが、片足でなく両脚の全ての指を失った場合は第5級8号に等級が上がります。
後遺障害等級第8級の自賠責保険金限度額は819万円です。等級が上がるほど限度額も上昇します。参考までに第1級の限度額は3,000万円で、要介護の場合は4,000万円です。
後遺障害等級の認定では単独条件に限らず、複数等級の症状を併合して上級の認定をもらうケースもあります。後遺障害等級第8級は単独の症状に限らず、併合で認定される場合が多い等級なので、併合での認定条件を確認しておく必要があります。
併合8級の例として、神経機能の障害による第9級と局部の神経症状による第12級の2つが認められるケースがあります。しかし、この基本的なルールが必ずしも適用される訳ではなく、各等級の単独条件の序列を乱す場合や、派生関係にある複数の症状については併合として認められない例外になります。
言葉上の規定だけでは併合認定が可能なのかどうか分かりづらいケースもありますので、被害者本人の判断が難しい場合は専門家に相談した方がより確実だと思われます。
後遺障害第8級の認定条件に加え、後遺障害慰謝料の相場も確認すべき点です。基準となる相場は設けられていますが、被害者側の希望額に達しないこともありますので、自分がどれだけの額をもらうのが妥当なのかを知る必要があります。また、後遺障害慰謝料以外にも請求するべき損害賠償があり、後遺障害により労務に携われなくなった分の補償も受け取るべきでしょう。
慰謝料をもらう方法として、『自賠責基準』と『任意保険基準』、『弁護士基準』の3種類があります。参考までに、後遺障害慰謝料の相場を等級別に下記表でまとめましたが、支払われる慰謝料の相場は基準ごとに異なり、弁護士基準が最も高くなっています。
等級 | 自賠責保険基準 | 任意保険基準(推定) | 弁護士基準 |
1級 | 1,100万円 | 1,300万円 | 2,800万円 |
2級 | 958万円 | 1,120万円 | 2,370万円 |
3級 | 829万円 | 950万円 | 1,990万円 |
4級 | 712万円 | 800万円 | 1,670万円 |
5級 | 599万円 | 700万円 | 1,400万円 |
6級 | 498万円 | 600万円 | 1,180万円 |
7級 | 409万円 | 500万円 | 1,000万円 |
8級 | 324万円 | 400万円 | 830万円 |
9級 | 255万円 | 300万円 | 690万円 |
10級 | 187万円 | 200万円 | 550万円 |
11級 | 135万円 | 150万円 | 420万円 |
12級 | 93万円 | 100万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 60万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 40万円 | 110万円 |
通常、自動車損害賠償保障法によって後遺障害等級第8級の慰謝料額は324万円だと決められています。
強制加入の自賠責保険と違って任意の保険なので、保険会社によって基準が異なります。
あくまで推定の参考額ですが、後遺障害等級第8級の場合は400万円程度とされています。
弁護士による交渉が入る場合、慰謝料の基準額が大きく上がります。後遺障害第8級の場合だと830万円です。
保険会社と交渉する上では弁護士が代理人になってもらわないと、保険会社側の最低基準額で提示される可能性が高くなります。保険会社は保険金の支払いを極力抑え、利益を確保することも当然考えています。
そこで、高額の慰謝料を保険会社より提示してもらうためには弁護士による示談交渉が必要となります。訴訟されるおそれがあることを保険会社は理解していますので、示談の段階で弁護士基準に近い額の慰謝料が出される傾向にあります。それに、裁判になれば基本的に半年以上の長期間を要しますので、早期解決を望まれる場合にも弁護士の示談交渉を頼ることになるでしょう。
後遺障害に対する慰謝料の他にも、被害者側がもらうべき大事な損害賠償金があります。被害者が労働者である場合に該当する話ですが交通事故後、入院や通院をした期間だけ休業する必要があります。その休業によって本来得られるはずだった収入を休業損害といいます。
自賠責基準の場合、原則として5,700円 × 休業日数で計算します。ですが、書面等で1日あたりの基礎収入額が5,700円より上回ることを立証できれば、1日あたりの上限額である19,000円までを条件に請求することが可能になります。
また、弁護士基準の場合は1日あたりの基準額は設定されてなく、1日あたりの基礎収入 × 休業日数で算定されるため、弁護士基準の方が自賠責基準よりも多額の賠償金を得られやすくなっています。後遺障害慰謝料と同様に、こちらも弁護士基準での請求をおすすめします。
後遺障害等級に認定された場合に関係する損害賠償のことで、後遺障害によってそれまで可能だった仕事が不可能になってしまい、収入が減少したことに対する補償です。後遺障害が生じなければ普通に得られているはずだった収入のことを逸失(いっしつ)利益と呼ばれています。これは交通事故前に収入があった場合に請求可能です。
休業損害は入通院により一時的に働けなくなったことに対する補償ですが、後遺障害逸失利益の場合は後遺障害により労務が難しくなった被害者の将来に対する補償となります。
後遺障害逸失利益は、1年あたりの基礎収入 × 後遺障害該当等級の労働能力喪失率(後遺障害等級第8級の場合は0.45) × 後遺障害確定時の年齢を加味したライプニッツ係数で計算されます。ライプニッツ係数とは就労可能年数を考慮した係数であり、被害者の年齢が若いほど高い数値になっています。将来的な労働能力喪失の年数の長さに応じた数値とも言えます。
後遺障害逸失利益の算定基準では、労働能力喪失率が高ければ高いほど額が上がるようになっています。加えて被害者の年齢も重要になり、労働喪失年数が長いほどライプニッツ係数の値が大きくなりますので、その分賠償額が高くなります。
休業損害や後遺障害逸失利益の場合は具体的な算定基準を参考にできますが、後遺障害慰謝料の場合は基準相場があっても被害者の立場や交通事故の状況に応じて慰謝料額が増減しますので注意が必要です。
被害者が20歳以下である場合、後遺障害を背負う期間がそれだけ長くなるため増額の対象になるとされています。また、後遺障害逸失利益の際でも解説したように、労働喪失年数の多さという観点でも被害者側の年齢が若いと、それだけ損失が大きいと考えられています。
家族を経済的に支えていた一家の大黒柱が後遺障害により働けなくなると収入面で苦しくなりますので、増額の対象になります。
被害者が母親や配偶者の場合も、日常的な生活を送ることが困難になれば家庭の存続が難しくと思われます。各家庭の事情にもよりますが、交渉次第では慰謝料が増額されます。
被害者側の立場だけでなく、加害者側の対応によって慰謝料が増えるケースもあるます。例えば、無免許運転や飲酒運転といった加害者側の重大な過失が判明した場合や、事故現場より逃走したり被害者側の謝罪が無かったりなど不誠実な行動があった場合、慰謝料を増額してもらいやすくなります。
ところが、相場よりも高額な慰謝料を請求できる条件を満たしていても、保険会社側への要望が通らないこともあります。その理由として、後遺障害等級に該当する症状を立証するための資料が不足していたり、専門医による診断内容が不十分であったりすることが考えられます。
それと、保険会社との交渉では被害者側が不利なるケースが多いとされています。保険会社側は基本的に最低基準の慰謝料額で考えている上、交通事故や後遺障害では専門的な知識を使うため、被害者側の主張立証が難しくなります。
被害者側の事実を正確に伝えて後遺障害の程度に見合った慰謝料を得るためには、確実な認定申請の手続きと専門家への相談が求められます。
納得がいく慰謝料を獲得するためのポイントをご紹介します。
弁護士が出てくると保険会社側は訴訟される可能性があることを理解しているので、示談の段階で弁護士基準に近い高額の慰謝料を提示してくれるようになります。
弁護士に相談するメリットやタイミングについては「交通事故で弁護士に相談すべき理由と相談にベストなタイミング」をご覧ください。
後遺障害等級第8級の認定条件と後遺障害慰謝料の相場について、お分かりいただけましたでしょうか。弁護士による交渉で慰謝料の増額が見込めますので、肉体的・精神的な苦痛が一生続く後遺障害に見合った額の慰謝料を請求するためには、弁護士へ相談されることをおすすめします。
決して安くない弁護士費用。いざという時に備えてベンナビ弁護士保険への加入がおすすめです。
離婚、相続、労働問題、刑事事件被害、ネット誹謗中傷など、幅広い事件で弁護士費用の補償が受けられます。
【ベンナビ弁護士保険が選ばれる3のポイント】
保険内容について詳しく知りたい方は、WEBから資料請求してみましょう。
KL2020・OD・037
本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
※あなたの弁護士に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
詳しくはあなたの弁護士の理念と信頼できる情報提供に向けた執筆体制をご覧ください。
※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。