医療訴訟の時効は何年|訴訟するなら弁護士へ相談するのが得策

弁護士法人ネクスパート法律事務所
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医療訴訟の時効は何年|訴訟するなら弁護士へ相談するのが得策

医療訴訟には時効があることをご存知でしょうか。

たとえ、病院側の過失によってあなた自身もしくはあなたの家族が医療ミスや医療過誤に巻き込まれても、時効を迎える前に訴訟しなければ申立て自体認められません。

医療訴訟を起こすつもりが、時効を迎えたために悔しい思いをしてしまうのはもったいないことです。そこで今回は、医療訴訟の時効と起算点の考え方、裁判の申立てを行う際に役立つ基礎知識についてご紹介します。

◆医療訴訟を検討している方へ

医療訴訟は個人で行うことは可能ですが、専門的な知識を求められるため、一人で裁判を進めるのはやはり難しいです。
勝訴の可能性があるかどうかも含めて、事前に弁護士に相談されることをおすすめします。
初回の相談料が無料の弁護士などもいますので、医療問題が得意な弁護士を探して相談してみましょう。

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医療訴訟における時効|具体的な期間と種類

始めに、医療訴訟における時効について確認していきましょう。具体的な内容を以下にまとめましたので、あわせて「医療過誤の時効|時効を迎える前にすべき準備と必要知識」もご確認ください。

消滅時効

消滅時効とは、定められた期間内に被害者は与えられた請求権を行使しないと、その効力がなくなってしまうというものです。

例えば、不法行為を理由とした損害賠償請求権は、被害者が医療ミスや医療過誤の事実を知ってから3年間その請求権を行使しない、または事故が発生してから20年間経過したら時効を迎えてしまいます。ちなみにこのことは、民法にも定められています。

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)

第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

(消滅時効の進行等)

第百六十六条  消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。

 

(債権等の消滅時効)

第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

 債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。

引用元:民法

債務不履行|10年間

債務不履行とは、過失などにより、病院側が債務を果たさなかったことで医療事故が発生した場合に適用されるものです。この場合の時効は、権利を行使できるようになった日(起算日)から10年間です。

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

引用元:民法

不法行為|3年間

不法行為とは、特定の医師や看護師が故意または過失によって医療ミスや医療過誤が発生した場合に適用されるものです。この場合の時効は、被害者の症状が確定してから3年間となります。

(不法行為による損害賠償)

第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用元:民法

カルテなど治療記録の保管期限

実は、治療内容をまとめたカルテやレントゲン写真には保管期限が定められています。そのため、時効まで猶予はあるけれど、医療ミスなどを立証する証拠は破棄されてしまい医療訴訟を優位に進められないといった事態が起きるかもしれません。

医療訴訟を起こしたいと考え始めたら、まずはカルテなどの治療記録の取り寄せなどを行い、証拠の確保を行いましょう。このとき、弁護士に依頼して手続きを進めると、スムーズに手続きを進めることができます。

【関連記事】医療カルテの開示請求方法|弁護士に依頼した場合の費用目安

【治療記録の保管期限】

治療記録の種類

保管期限

カルテ

5年

レントゲン写真

2年

時効の起算点の考え方

医療訴訟の時効は、債務不履行の場合10年、不法行為の場合は3年ということが分かりました。しかし、時効の起算点(起算日)はいつからカウントすれば良いのでしょう。民法724条には、「被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から」と記されています。

第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から

引用元:民法

実は、損害及び加害者を知ったときと言っても、「処方された薬が自分に合っていないかもしれない」と思うだけでは不十分です。

過去の判例【東京地判平成18年9月26日】では、治療行為が正しい方法ではないと被害者側が認識した日が起算点(起算日)になると示しています。

時効が近いときの対処法|時効の中断手続き

時効まで時間がない場合、「時効の中断」手続きを行うことで、6ヶ月間の猶予が与えられます。

時効の中断手続きは、内容証明郵便などで病院側に損害を賠償するよう催告すれば完了です。とはいえ、猶予は6ヶ月間しかありません。

そのため、医療訴訟を起こすときは迅速対応が必須と言えます。

訴訟の流れと責任

医療訴訟の流れや相手に問える責任についてまとめました。基本的に、訴訟相手は病院だけでなく、医療行為を行った医師や看護師を指定することも可能です。また、相手に負わせる責任も民事責任や刑事責任、行政責任と複数あることも把握しておきましょう。

医療訴訟で被告にできる相手とは

医療訴訟で被告にできる相手は、医療ミスや医療過誤が起きた病院だけではありません。実は、医療行為をした医師や看護師、医薬品や医療器具の製造元を相手にすることも可能です。

さらに、あん摩マッサージ指圧師や、はり師、きゅう師、柔道整復師などの施術で医療過誤が発生した場合は、施術者を相手に訴訟を起こせます。

【医療訴訟で被告にできる相手】

  • 病院
  • 医療行為をした医師や看護師
  • 医薬品や医療器具の製造元
  • 医療類似行為をした者

医療訴訟で問題にできる3つの責任

医療訴訟で病院側が問われる責任には、民事責任・刑事責任・行政責任の3つがあります。具体的にどのような罰則を与えられるのかなど以下にまとめました。

医療訴訟で問題にできる3つの責任

民事責任

民事責任は、警察や検事は介入せず、当事者間で話し合いや訴訟などによって解決する責任です。具体的には債務不履行または不法行為が該当し、どちらかの理由を元に訴訟を起こし慰謝料請求をします。

  定義
債務不履行 契約上の債務を怠った 診療契約通り治療しなかった
不法行為 違法行為で他人に損害を与えた 医療ミスで患者に損害を与えた

 

刑事責任

刑事責任は、刑事法に違反した者へ懲役などの罰を与える責任です。具体的には、業務上過失致死傷罪などが該当します。この場合、被害者が相手を訴え裁くのではなく、検察官が訴えることになります。

  定義
業務上過失致死傷罪 業務上必要な注意を怠り、相手を死なせたり、傷害を負わせた 医療ミスで患者を死なせた

 

行政責任

行政責任は、医師や看護師という職業を制限する罰則を与えることを指します。

具体的には、懲戒免職や医業停止、医師や看護師免許の取り消しなどです。被害者側に慰謝料を支払う民事責任や、刑罰により罪を償う刑事責任とは異なります。

訴訟で得られる慰謝料や損害賠償の相場

医療訴訟で得られる慰謝料の相場は400万円ほどです。ただし、内容によっては相場よりも安くなるケースも否定できません。

逆に言えば、悪質性が高いと認められると、高額な慰謝料が認められやすくなると言うことです。詳しくは、「医療事故の事例から見る事故内容と件数や慰謝料の相場」をご覧ください。

訴訟で得られる慰謝料や損害賠償の相場

訴訟で得られる慰謝料や損害賠償の相場

【参考書籍】「慰謝料算定の実務第2版

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医療訴訟手続の流れや費用などの必要知識

医療訴訟の流れや費用などの基礎知識について確認していきましょう。訴訟手続の流れや準備すべきもの、費用相場や訴訟の争点などについて記載しています。

【関連記事】医療訴訟の費用一覧|弁護士がいないと勝訴は難しい理由

訴訟手続の流れ

訴訟手続の流れ

上図は、医療訴訟を起こした場合の流れをまとめたものです。まず裁判所側が争点の整理を行い、双方の言い分に矛盾点がないか確認するための証拠集めを経て、判決の審議が行われます。詳しい内容は、「医療訴訟の流れ」をご覧ください。

準備するもの

訴訟手続の際、準備するものを以下にまとめました。

医療訴訟は、証拠となり得るカルテやレントゲン写真が病院側で保管されていることがほとんどです。そのため、個人で集めるのは容易なことではありません。

法に基づいて資料請求などができる弁護士に相談した上で集めていくのが現実的でしょう。

【医療訴訟で必要なもの】

  • 医療事故が発生した現場の写真
  • カルテやレントゲン写真などの治療記録
  • 現場にいた医師や看護師など関係者への聞き込みした内容をまとめたもの
  • 医療訴訟にかかる費用(交通費や弁護士費用などを含む)

訴訟で弁護士を利用した場合の費用相場

医療訴訟で弁護士を利用した場合の費用相場を以下にまとめました。医療事故や医療過誤を立証するため、弁護士を使わずに個人で訴訟を起こすことも可能です。しかし、専門知識が求められるだけでなく、証拠は原則病院側で保持しているため現実的ではありません。

費用負担を懸念される方もいるかもしれませんが、法律のプロに依頼して相手の非を認めさせる方向で検討していくことをおすすめします。

費用項目

目安の金額

相談料(1時間)

10,000円

着手金

320,000円~540,000円

報酬金

利益の1割

訴訟費用

210,000円

日当

20,000~50,000円

実費(弁護士の交通費、調査費用など)

30,000円~

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医療訴訟の争点

医療訴訟の争点は、診療契約上の注意義務違反があったかどうか、事故との因果関係があったかどうか、被害者が受けた損害がどの程度のものかです。これらの内容に基づいて、病院または医師や看護師に非があったかどうか裁判官が判断を行うのです。この争点に基づいて、被害者側に優位な証拠がどれだけ集められるかが勝訴に繋げるためのポイントとなります。

  • 診療契約上の注意義務違反
  • 事故との因果関係
  • 被害者が受けた損害の度合い

優位に進めたいなら弁護士への事前相談がおすすめ

個人で訴訟に持ち込むことも可能ですが、やはり弁護士などの専門家に相談し、法的な観点で勝訴の見込みがあるかなどを確認するのが得策でしょう。

医療訴訟に強い弁護士の探し方については、「医療過誤問題が得意な弁護士を選ぶポイントと弁護士費用の相場」と「医療訴訟(医療問題)に精通している弁護士への依頼内容と探すポイント」をご覧ください。

また、医療訴訟を優位に進めるポイントが知りたい方は、「医療過誤で示談成立させるポイント|弁護士費用の目安と示談までの流れ」と「医療過誤の裁判の進め方と勝訴するための弁護士の選び方」をご覧ください。

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医療事故相談センター

いきなり弁護士に相談するのは躊躇してしまう、そんな方は医療事故相談センターへ連絡してみるのがおすすめです。下記に連絡先一覧をまとめましたので、必要に応じて活用してください。

 

【連絡先一覧】

都道府県

事業所名称

電話番号

北海道

札幌医療事故問題研究会

011-209-3331

宮城県

仙台医療問題研究会

022-212-1603

茨城県

つくば医療問題弁護団 

0296-30-5600

栃木県

栃木医療問題研究会

0287-46-6350

群馬県

群馬医療問題研究会

027-220-1180

埼玉県

埼玉医療問題弁護団

048-862-1853

千葉県

千葉医療問題研究会

043-222-1831

千葉県

松戸医療事故フォ-ラム

047-368-5020

東京都

医療問題弁護団

03-6909-7680

東京都

医療事故研究会

03-5775-1851

神奈川県

神奈川医療問題弁護団

045-226-9961

長野県

長野県医療問題弁護団

026-235-6020

新潟県

上越医療問題弁護団

025-524-1238

富山県

富山医療問題研究会

0764-23-2466

石川県

金沢医療問題研究会

076-221-4111

静岡県

静岡医療事故研究会

054-205-0577

愛知県

医療過誤問題研究会(医療事故相談センター)

052-951-3226

京都府

京都医療過誤弁護団

075-222-0011

大阪府

大阪医療問題研究会

06-6206-0326

兵庫県

兵庫医療問題研究会

078-371-3006

鳥取県

鳥取県医療問題弁護団

0859-34-1996

岡山県

岡山医療問題研究会

070-5522-5668

広島県

広島医療問題研究会

082-227-5575

島根県

しまね医療問題弁護団

0852-26-5141

山口県

山口医療問題研究会

0832-32-1321

徳島県

徳島医療問題研究会

088-624-1921

福岡県

九州・山口医療問題研究会 福岡県弁護団

092-641-2009

長崎県

九州・山口医療問題研究会 長崎弁護団事務局

095-827-4314

佐賀県

佐賀医療問題研究会

0952-25-3121

熊本県

九州・山口医療問題研究会 熊本弁護団事務局

096-354-7282

大分県

九州・山口医療問題研究会 大分弁護団事務局

097-537-3344

宮崎県

九州・山口医療問題研究会 宮崎弁護団事務局

0985-24-8820

鹿児島県

鹿児島医療問題研究会

099-222-9951

沖縄県

沖縄医療事故問題研究会

098-951-3411

引用元:医療事故相談センター

その他相談機関

弁護士や医療事故相談センター以外にも、医療訴訟に関する相談先があります。一部のご紹介とはなりますが、連絡先を下記にまとめました。あなたが抱える医療訴訟問題の解決の糸口が見つかれば幸いです。

 

【その他相談機関の連絡先一覧】

神奈川県医療安全相談センター 平日のみ
午前10~12時、13~15時
045-210-4895
京都医療ひろば 毎週水曜日
18時30分~
075-365-2633
患者の権利オンブズマン 第2、第4木曜日のみ
午前10~12時
03-5953-3121
長野県医療安全支援センター 月曜~金曜日
午前8時30分~12時、13時~17時
026-235-7145


【関連記事】医療訴訟の相談ができる窓口4選|無料相談の活用もおすすめ

まとめ

医療訴訟には時効が設けられており、期限内に申立てをしなければ病院側を裁きにかけること自体できなくなってしまいます。少しでも医療ミスや医療過誤が疑われたときは、弁護士などの専門家に相談し、早急に手続きを進めることが重要です。

訴訟に必要な証拠は、基本的に病院側で保管されているため、裁判を進めていく中で難しいと感じることがあるかもしれません。しかし、あなたやあなたの家族のためにも、どうか負けずに立ち向かってください。心より健闘をお祈りしております。

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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