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KL2020・OD・037
スマートフォンの普及により何時でもどこでも写真と動画をネットに投稿ができるようになり、それに意図せず自分が映り込んでしまう可能性がある時代になりました。
自分でアップした写真ならいいけど他人に自分が移った写真をネットで無断で公開されるのは抵抗のある人が多いのではないかと思います。
当記事では肖像権侵害になるかどうかの判断基準とその事例についてご紹介しますので、肖像権について調べている場合はぜひ参考にしてみて下さい。
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目次
肖像権というフレーズはよく耳にしますが、法律で明文化された権利ではなく、基本的人権の一つとして解釈上存在すると考えられている権利です。そのため、肖像権の定義やその侵害行為について明確な基準はないので、ある行為が肖像権侵害となるか否かは一概にはいえません。
ただ、肖像権の存在自体は裁判例でも肯定されており、対象となる画像・映像の内容、使用法、撮影場所・方法等の諸般の事情を考慮して侵害かどうかが判断されています。
大雑把に表すと下記の4点が肖像権を侵害しているかどうかの判断材料とされています。
正直この基準を見ただけだとあまりピンとこないと思いますので、下記で実際に侵害になりにくい事例と侵害になる事例で実際に当てはめて確認してみましょう。
ある人物を単体で撮影し、かつ住所・指名等で個人の特定が可能である場合、これをインターネット上で公表すれば肖像権侵害が成立する可能性があります。
これは肖像対象者が特定可能であり、かつインターネットという拡散性の高い方法で表示しているためです。ただ、写真が公共の場所で撮影されたものであったり、友人のみ閲覧可能なSNSに掲載しただけである場合には、本人がこれを不快としても直ちに肖像権侵害となるかは要検討でしょう。
なお、写真や動画に限らず肖像権はイラスト等の創作物にも保障され、実際にとある漫画家がマンガ内の人物を誰が見ても特定可能な実在人物と類似したキャラを登場させ、その本人から訴えられたという判例も存在します。
特定施設や自宅での姿が個人の特定が可能な程度に撮影され、公表された場合、プライバシー性の高さを理由として肖像権侵害が認められる可能性があります。
例えば、特殊な例ですが、被疑者として裁判所に連行されたのにも関わらず裁判所内で手錠をかけている状況を隠し撮りそして公開され、それに対して名誉棄損の訴えが行われた判例も存在します。
被上告人は,本件写真の撮影当時,社会の耳目を集めた本件刑事事件の被疑者として拘束中の者であり,本件写真は,本件刑事事件の手続での被上告人の動静を報道する目的で撮影されたものである。しかしながら,本件写真週刊誌のカメラマンは,刑訴規則215条所定の裁判所の許可を受けることなく,小型カメラを法廷に持ち込み,被上告人の動静を隠し撮りしたというのであり,その撮影の態様は相当なものとはいえない。
引用元:裁判所判例
ただし、公共の場でないところで撮影した写真であっても自分以外の沢山の人が映り込み人物の特定が容易ではない場合、肖像権の侵害は認められづらくなるのでご注意ください。
撮影者本人がネットにアップした写真等であったとしても、それを許可なく無断で利用した場合は肖像権侵害となる可能は否定できません。ただ、本人がサイト上に公開しているという点から実際に権利侵害と認められる可能性は低いように思われます。
なお、無断で使われている写真等が加工され撮影人物を特定できないよう編集されていた場合、肖像権の問題とはなりませんが、写真に著作物性がある場合は、著作権が問題となる可能性があります。
このケースはネットという非常に拡散性の高い場所に公開されてはいますが、集合写真のため個人特定がしづらくなっているため侵害だと認められにくくなっています。
あらかじめ公の場には出さないで欲しいとお願いしていた場合は別ですが、特に何も言わずに写真撮影をした場合は後から侵害だと言っても認められるケースは少ないようです。
ただ、子どもの集合写真などで服に名札がついている場合、集合写真であっても個人特定が容易であり、肖像権侵害となる可能性は否定できません。
この場合は特定の人物でなく風景をメインに撮影しているのと公共の場ということもあり肖像権侵害にはなりくにくいです。
この判断の際にポイントになるのが撮影の場所が公共の場であるという点です。
一般的な見解では公共の場を歩いているのがただ映っただけであれば、プライバシー侵害の影響もほぼなく心理的な負担も与えられていないと判断されてしまうでしょう。
ライブやイベントの撮影はその風景自体を目的で特定個人の撮影が目的でないため、動画や写真に写ってしまっていても侵害だとは認められにくいです。
また大体のイベントとライブは撮影がある場合はあらかじめ公式サイトで告知をしているため、それに参加するということは撮影を容認していると判断されてしまいます。
ちなみに、イベント等で一般人に行われるインタビューは明らかに特定個人の撮影を目的としたものですが、撮影と公開が前提に行われるので答えた時点でそれに同意したものと見なされるため映りたくない場合は答えないよう注意しましょう。
まずは肖像権を侵害している写真等の持ち主にその旨を連絡し削除してほしいという意思をハッキリ伝えましょう。
ネットに投稿されていて写真等の所有者が分からない場合はサイトもしくはSNSの連絡フォームから以下の項目を伝えた連絡を行ってください。
もし写真等所有者に自分の氏名住所を伝えたくない場合はそのネットサービスの管理会社に伝える手段も有効です。(アメブロだったらアメブロ運営、TwitterならTwitterの運営へ)
ただ肖像権侵害の旨を伝えたのにも関わらず削除拒否をされる場合は法的な手段に出て解決をするしかありません。その際はネット誹謗中傷を専門とした弁護士に相談し対処方法を検討していく必要があります。
著作権侵害は被害者が写真等により精神的苦痛を受けていたり、被害者人物像の特定が可能で拡散性の高い場所に写真等が投稿された際に認められるケースが多いです。
肖像権は有名人に限らず一般人の誰もが持ち合わせている権利なので、明らかに自分の肖像権が侵害されていてそれが快く思えないときは、遠慮せずに写真等の削除をすぐ申請することをおすすめします。
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本記事はあなたの弁護士を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。
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