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KL2020・OD・037
業務委託契約書に記載されている『再委託』とは、クライアントが初めに契約した委託先に委任した業務を、委託先が別の委託先に頼むことを言います。業務委託契約の場合、初めに請負契約か委任契約どちらで締結したかにより再委託の可否が異なるのです。もちろん契約で別段の定めをすることは可能です。
そこで今回、業務委託契約書に記載されている『再委託』の定義や責任の所在を知るために必要な知識として、再委託の制限や禁止事項、契約書に明記すべき再委託に関する事項などについてご紹介します。
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目次
まずは、業務委託契約書がどんなものか確認していきましょう。以下に、参考図を添付いたしました。業務内容や報酬などの詳細な条件は、クライアントと委託先によって異なりますが、契約書に記載すべき項目は基本的に同じです。
引用元:NHK
業務委託契約書の内容について、詳しく確認していきましょう。業務内容の記載があいまいだと、双方に認識相違が生じるだけでなく、賃金の支払い拒否や契約解除などのトラブルに発展するリスクがあります。
配送や集金などの業務委託契約を行う場合は、対象地域を指定するケースがあります。逆に対象地域に関する記述がない場合は、指定するように話を進めてみましょう。遠方地域まで業務を任されてしまうなどのトラブル回避に繋がります。
業務を委託する期間のことを、『契約期間』と言います。委任契約であれば、クライアント委託先ともにいつでも契約解除または、解約が可能です。しかし、請負契約は契約どおりの成果が得られない場合、クライアントが一方的に契約解除できるため注意すべきでしょう。
(注文者による契約の解除)
第六百四十一条 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
引用元:民法
業務委託契約書に定めた業務を遂行した際に支払われる賃金や報酬に関する記述です。お金に関わることですから、どのくらいの成果を出すといくら支払われるのか、できる限り明確に記載されていることが望ましいでしょう。
(請負)
第六百三十二条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
引用元:民法
業務委託契約書には必ず、クライアントと委託先の署名と捺印欄が設けられています。契約書に署名と捺印をすると、書面に記載された事項に同意したとみなされます。むやみに署名捺印をせず、記載事項を必ず熟読し、問題ないと判断した上で行いましょう。
業務委託契約書に再委託に関する記述をすべき理由と、明記すべき事項について確認していきましょう。原則として、請負契約では再委託は可能ですが、委任契約では再委託は不可とされています。
業務委託契約書に再委託可能という内容を記載する場合、下図のように明記するとよいでしょう。なぜなら、初めの委託先情報や技術が次の委託先に漏洩するのを防ぐ、クライアントの利益を守るために必要だからです。
引用元:NHK
クライアント側が現在の委託先に業務の再委託を希望していない場合、『再委託禁止事項』を明記しておくことをおすすめします。具体的には、『クライアントは、第三者に業務の再委託ができない』といった文言を記載すればよいでしょう。
請負契約の場合、クライアントが望む業務量をこなせるなら、委託先はどこでもいいということが前提にあります。そのため、原則、再委託可否の制限はありません。契約書に再委託の記述がある場合、その多くはセキュリティ保持や品質担保を目的としたものです。
委任契約は請負契約とは異なり、委託先に対する高度な信頼や期待を前提にして締結されるものですから、再委託は原則不可とされています。ただし、本人の許可を得た場合や、やむを得ず第三者に委託しなければならない場合は再委託可能です(民法104条類推適用)。
(任意代理人による復代理人の選任)
第百四条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
引用元:民法
クライアントが委託先の了承を得られている場合、再委託する際の、再委託先の選任及び監督についての責任は問われないものとされています。ちなみに、再委託先が業務遂行に不適任だと知りながら、委託先が再委託の了承をした場合、了承した委託先に責任が問われる可能性があります(民法105条2項類推適用)。
(復代理人を選任した代理人の責任)
第百五条 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。2 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りではない。
引用元:民法
業務委託契約の際に確認すべきポイントと注意点についてご紹介します。具体的な業務内容や報酬などの取り決めだけでなく、業務委託契約書面に記載されている項目に以下のことについてどのように明記されているかチェックすることをおすすめします。
まず、業務委託契約は請負契約なのか委任契約なのか確認しましょう。請負契約に比べて委任契約の方が、契約解除や解約のリスクが少ないと言えます。もし請負契約の場合は、念のため再委託が禁止されていないか熟読し、契約解除の回避に努めてください。
どのような業務を委託し、成果報酬はいくらか確認します。業務委託契約書に記載された業務内容や成果報酬は具体的に明記されていることが望ましく、不要なトラブルの回避に繋がります。不明慮な点は署名する前にクライアントへ確認しましょう。
機密保持に関する事項は、委託先が業務で知り得たクライアントの情報などを、業務遂行の目的以外で使用しないことが明記されています。その他、クライアントは委託先の個人情報などを業務遂行以外での使用や、第三者への開示はしないといったものもあります。
業務委託契約書に、反社会的勢力の排除に関する記述がなされているかも確認しましょう。例えば、反社会的勢力を利用しない、資金提供などをしない、関係自体を持たないなどといった記述がなされています。
業務委託契約を締結した場合、決められた期間に決められた業務を行うことが前提となるため、基本的に途中解約はできません。ところが請負契約の場合、委託先が仕事を完了させないときは、クライアント側で契約解除が可能なため注意が必要です。
(注文者による契約の解除)
第六百四十一条 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
引用元:民法
業務委託契約で起こり得るトラブルのひとつが損害賠償です。例えば、クライアントから業務委託報酬が支払われていない、委託先が契約書に定めた事項を守らずクライアントに損害を被った場合どうなるか、把握しておくためにも確認しましょう。
ここまで、業務委託契約書で確認すべき注意事項を解説してきましたが、どれだけ確認を重ねても「本当にこれで問題ないだろうか……。」と不安が残るケースもあるかと思います。
取引額が大きくなる場合は、契約書に不備があった場合のリスクも高くなりますので、最後に弁護士に確認してもらうことも考えてみましょう。
再委託は、大まかに分けると請負契約か委託契約かによって異なることが分かりました。実際の契約書面には、委託先よりもクライアントに有利な条件が記載されていることがあります。署名は内容を熟読し、不明慮な点をクライアントに確認してから行いましょう。
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