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KL2020・OD・037
「この名前なんて読むの!?」となってしまう、いわゆる『キラキラネーム』は最近では珍しくないですよね。
ですが、あまりに一般常識からかけ離れている名前は裁判によって審議されることもあります。
この記事では自身の子供に『悪魔』という名前を付けようとしたことを巡っての事案をご紹介します。
この事例は20年前の話で当時は大きなニュースになりました。
ある男性が自身の子供に『悪魔』という名前をつけたのです。
一度は受理されましたが、後日法務局の民事局長による判断で命名にストップがかけられました。
これを不服とし、父親は東京家庭裁判所に審判を申し立てました。
そもそもなぜ自分の子に『悪魔』という名前を付けようと思ったのか疑問に思いませんか?
『悪魔』という名前が良いか悪いかはさておき、周りから反対されるのは明らかですよね。
以下が命名の理由とされています。
「悪魔」という名は,戸籍法50条に規定する制限内の文字からなっており,子に対し明らかに良い影響を与え,一度聞いたら二度と忘れることのない最高の概念を含むものである。
長男は,この命名により,人に注目され刺激を受けることから,これをバネに向上が図られる。本件命名は,マイナスになるかも知れないが,チャンスになるかもしれない,
また,Xが本件命名に及んだ一つの動機として,次のような経験(ある種の成功体験)がある。 すなわち,XはAとの結婚披露宴の座席表を作成するに際し,式場職員の注意を聞かず,何人かの出席者の氏名の肩書に,番長,アイドル,特攻隊長等の交遊上の名称を付けたところ,結果的には友人間の好評を博した,というのである。
引用元:【42】 親の命名権――悪魔ちゃん事件
最初は奥さんも反対していたようですが、最終的には父親の意向を尊重し賛成したようです。
『悪魔』という名前なんて当然認められないかと思いきや、最終的に裁判所は『悪魔』という名前を付けることを認めました。
主文 東京都昭島市長は、申立人が、平成五年八月一一日にした長男の出生届出に基づき、①「悪魔」の名を長男の戸籍(名欄)に記載し、②長男の身分事項欄の「名未定」との記載(挿入部分)を抹消し、もって、長男の名の受理手続を完成せよ。
文献番号:1994WLJPCA01310004
なぜ『悪魔』という名前が認められたのか。以下が認められた理由です。
裁判所は名前が一度受理されたから戸籍を復活させろ、という判断をしました。
しかし「『悪魔』という名前はいじめの対象となり、社会不適応を引き起こす可能性がある。これは命名権の濫用に当たり、戸籍法に違反する。」という判断もしています。
名前が受理される前に裁判になっていたら、『悪魔』という名前は命名できなかったかもしれません。
最終的に父親が「騒ぎに飽きた。」などとして、不服申し立てを取り下げ、違う名前を届け出たようです。 (参考記事:親子関係(21)・・・親権その3・・・悪魔ちゃん事件)
この判決は1994(平成6)年の出来事なので、本来『悪魔ちゃん』という名前になるはずだった子は現在25歳ぐらいですね。
もし『悪魔』という名前になっていたら、どんな人生になっていたのでしょうか。
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KL2020・OD・037
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