外国人雇用の使用者や外国人労働者が確認しておきたい知識まとめ

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弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
外国人雇用の使用者や外国人労働者が確認しておきたい知識まとめ

最近、外国人労働者を多く見かけるようになりました。厚生労働省が公開している全国の外国人労働者数は1,083,769人になっており、都道府県別の外国人労働者は下記のようになっています。

外国人雇用の使用者や外国人労働者が確認しておきたい知識まとめ
参照元:外国人雇用状況の届け出状況一覧|厚生労働省

この表からわかるのは外国人労働者がいない県がないということです。国際空港がないからといって外国人労働者がいないわけではありません。会社で求人を出したとき外国人が面接に来る可能性が全国どこの地域でもあり得るということになります。

あなたが外国人雇用をしようと思った時、どのような点を注意しなければいけないのかを紹介します。

企業が外国人を雇用する際に注意していること

企業が外国人を雇用する際に注意していること

企業側は、外国人雇用をする際に気を付けることがいくつかあります。不法入国・在留ではないことの証明である在留カード所持の確認のほかに、人間関係を円滑にするためなどの注意点をまとめました。

自分がどこかに就労する場合、下記のようなことがあるかを確認しておきましょう。

就労できる資格かどうか

在留資格は現在27種類あります。原則として就労ができないのは以下の5つです。資格などの記載は在留カードに記載されています。

短期滞在

在留期間 90日・30日・15日以内の日を単位とする期間
できる活動 本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポ―ツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動例)家族の結婚式・国際会議の参加等

研修

在留期間 1年・半年・3ヶ月
できる活動 本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(この表の技能実習1号、留学の項に掲げる活動を除く。)例)○○大学の研修生等

文化活動

在留期間 3年・1年・半年・3ヶ月
できる活動 収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(この表の留学、研修の項に掲げる活動を除く。)例)日本文化の研究者等

留学

在留期間 4年3ヶ月・4年・3年3ヶ月・3年・2年3ヶ月・2年・1年3ヶ月・1年・半年又は3ヶ月
できる活動 本邦の大学,高等専門学校,高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期過程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期過程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制 に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動例)学生の生徒

家族滞在

在留期間 5年・4年3ヶ月・4年・3年3ヶ月・3年・2年3ヶ月・2年・1年3ヶ月・1年・半年又は3ヶ月
できる活動 働くことのできる在留資格をもって在留する者(技能実習を除く。)又は留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動例)在留夫婦の子供

参照元:入国管理局

「留学」と「家族滞在」の資格は、1週間28時間以内ならば勤務が可能です。「留学」の資格の場合、夏休み期間は1日8時間以内と決まっています。

制限された分野かどうか

日本で就労ビザを取る際は自分がする仕事の資格を取得しましょう。資格は18種類にわかれていますので、例えば大学教授ならば「教授」といったように選びます。

・外交:外国の大使館等外交に関する仕事

・公用:国際機関の公務に関する仕事

・教授:大学などの機関での研究や指導

・芸術:収入を伴う芸術活動

・宗教:宗教家の行う布教・その他宗教上の活動

・報道:契約に基づいた取材や報道

・経理・管理:貿易や経営・該当事業の管理に関する仕事

・法律・会計業務:外国法事務弁護士・外国行員会計士等

・医療:医師・歯科医師等医療にかかわる仕事

・研究:公私の期間に基づいて研究を行う活動

・教育:教育機関において語学教育などの教育を行う仕事

・技術・人文知識・国際業務:公私の機関との契約に基づいて科学・理学・工学・自然科学・経済学・社会学・人文学などの知識を必要とする業務

・企業内転勤:転勤した企業内で働く

・興行:演劇・演芸・演奏・スポーツなどに関わる仕事

・技能:産業上特殊な分野で、熟練した技能が必要とされる者

・技能実習:雇用契約に基づき、事業所において当該技能等を要する事務に従事する活動

・特定活動:ワーキングホリデーや外交官の家事の使用人など法務大臣が指定した活動

・技能実習:技能実習生として、事業所で業務に従事して行う技能等を修得する活動

文化や習慣の違いに注意する

日本では普通と思っていることが普通ではない場合があります。特に以下のことに気を付けて下さい。

  • 宗教上で何か問題になることはないか確認する
  • 指示は的確に曖昧さを避けて具体的に行う
  • 労働契約や外国人労働者が自己能力や適性を強く主張していたら根拠と共にすべて文章で記録する
  • 外国人労働者の主張や質問にはあいまいな返事をせず肯定・否定を明確にする
  • 就業時間と時間外を明確にする

特に宗教は大切にしている人が多いためしっかり理解することが大切です。

外国人を10人以上雇用している場合

外国人労働者を10人以上雇用している場合、外国人の雇用条件の改善、管理をするための人事課長などを雇用労務責任者として選任することが厚生労働省から定められています。

また改善、管理するための指針が厚生労働省から公開されています。

留学生アルバイトとして雇用される場合の注意点

留学生アルバイトとして雇用される場合の注意点

留学生は勤務時間以外にも注意しないといけないことがあります。違反してしまうと、留学生と共に雇用主も罰則に処せられます。ではどのような注意点があるのか確認していきましょう。

資格外活動許可の確認

在留カードの裏面に資格外活動の許可の記載もしくはパスポートに資格外活動許可のシールが貼られています。パスポートへの許可シールの見本は「入国管理局」です。

また資格外活動許可にも有効期限が定められているので、許可だけではなく期限はいつまでなのか確認しましょう。

禁止されているアルバイトでは雇用できない

留学時にふさわしくないとされているバイトがいくつかあります。

  • バー・キャバクラなどのナイトワーク
  • 上記のナイトワークの店舗での皿洗い・ホールスタッフ・ティッシュ配り
  • パチンコ
  • 麻雀店
  • ゲームセンター等

どうしても働きたいと言われた場合でもしっかりと断る必要がありますし、働きたいと思っても働くことはできません。

雇用者側に考えられる罰則

  • 資格外活動許可がないにもかかわらず雇用
  • 留学生の規定時間以上の労働
  • 留学生が禁止されているバイトへのあっせん・雇用
  • 在留カードがない不法残留者を雇用

これらいずれかを行った場合、不法就労助長罪として3年以下の懲役又は300万円の罰金に処せられます。

また故意ではなくても書類の確認を怠るなどの過失が認められれば罰則の対象になります。

外国人を雇用するメリット・デメリット

外国人を雇用するメリット・デメリット

これは企業にとってのメリットではありますが、外国人を雇うメリットまたデメリットをご紹介して行きますので、もし仕事を探すのであれば、こう言った内容を理解している会社を選ぶことで、より良い環境で仕事ができるのではないでしょうか?

雇用した場合のメリット

若い労働力の確保

厚生労働省が公開している労働力人口の推移の統計を表にまとめました。

参照元:労働経済の基礎的資料|厚生労働省

この表からわかるように、少子化の影響により15~29歳の若い労働力が減少しています。そのため海外から若い労働力を確保することは企業にとってとても大きなメリットになります。

また遠い海外から来日して働くため比較的労働意欲が高いことが多いです。

国際化や国際競争の強化

国際化や海外進出をするために高い語学力が必要になります。また雇用した外国人の出身地の文化や習慣がわかるためその国に進出する時の参考になります。

元々働いている社員にも良い刺激となり、会社全体の語学力レベル底上げのきっかけにもなり得ます。

多様性による企業の成長を見込める

一国民ではなく多国籍の社員が所属することにより、アイディアに偏りがなくなり新しい角度で物事を考えられるようになります。

また料理屋などでその国の技術者を雇用することで、宣伝や日本の技術者のレベルを上げることができます。

デメリット

雇用するための手続きが多くて面倒

外国人を雇用する場合、ハローワークに届け出を提出したり、そのほか書類の確認など多くの項目にチェックしないといけません。また、安心して働けるような環境づくりや配慮が必要です。

文化の違いによるストレス

文化が違うため遅刻や働き方・話す言葉の強さなどに大きなずれが生じてきます。遅刻した場合どのようなことをしてほしいのか、話し方がきついと思った時はこういう言い方にしてほしい等最初に伝えるようにしましょう。

また日本人社員には、雇用した外国人労働者の特徴を伝え、まったく違う文化を持つ人間と一緒に働くことにしっかり理解してもらいましょう。

十分なコミュニケーションが取れない可能性がある

日本語がすごく上手な人から、まだまだ日本語が拙い人までいます。分からないところはしっかり確認しましょう。

特に、工場などでしっかり説明を理解されないまま業務に携わってしまうと、ケガや事故が起こってしまう可能性があります。

外国人雇用には助成金や支援制度がある

外国人雇用には助成金や支援制度がある

企業は、外国人を雇用すると心配なことや1人では解決できないことが多くあります。そのようなときにどのような支援が受けられるのか、また助成金は出るのかまとめました。

財団法人国際研修協力機構(JITCO)の支援制度

財団法人国際研修協力機構(JITCO)とは、技能実習生や研修生の受け入れを行う企業や民間団体などに対し総合的な支援と援助などを行ってくれます。

支援制度

支援としては、

  • 円滑な送り出し・受け入れ支援事業
  • 技能実習制度適正化支援事業
  • 成果向上支援事業
  • 技能実習生の保護事業
  • 広報啓発推進事業

等があります。

厚生労働省からの助成金|大企業の場合

大企業の場合は「雇用調整助成金」というものを受け取ることができます。

支給要件

最近3か月の生産量が、その直前3か月又は前年同期比で5%以上減少していること。

対象労働者

  •  雇用保険被保険者(新規学卒者を含む)
  •  週の所定労働時間が20時間以上かつ6か月以上雇用されている被保険者以外の方

助成率等

①休業、教育訓練、出向

手当等の1/2

②教育訓練経費

1人1日1,200円

厚生労働省からの助成金|中小企業の場合

中小企業の場合は「中小緊急雇用安定助成金」を受け取ることができます。

支給要件

  •  最近3か月の生産量がその直前3か月又は前年同期比で減少していること。
  •  前期決算等の経常利益が赤字であること。(生産量が5%以上減少している場合は不要)

対象労働者

  •  雇用保険被保険者(新規学卒者を含む)
  •  週の所定労働時間が20時間以上かつ6か月以上雇用されている被保険者以外の方

助成率等

①休業、教育訓練、出向

手当等の4/5

①教育訓練経費

1人1日6,000円

これらの支援制度により、自身や外国人労働者の不安解消・スキルアップなどに利用できます。

まとめ

いかがでしょうか。

企業は外国人を雇用する時に配慮すべき点がいくつかあることがお分かり頂けたかと思います。外国人雇用に関してしっかり確認しないと逮捕される場合もありますので、雇用される身としても、ちゃんとした企業かどうかは何かしらの手段で確認しておくべきでしょう。

もし雇用関係でトラブルになった場合は、弁護士へ相談するという方法もありますので、困ったことがあれば、まずは相談から始めてみて、どういった解決策があるのかを確認することをおすすめします。

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この記事を監修した弁護士
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
2016年1月に寺垣弁護士(第二東京弁護士会所属)、佐藤弁護士(東京弁護士会所属)の2名により設立。遺産相続、交通事故、離婚などの民事事件や刑事事件、企業法務まで幅広い分野を取り扱っている。

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